P9前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 二飛縁 魔
多゛い尓ひゑんま
だ いにひえんま
飛縁 魔ハもと佛 説 与り出 多る奈尓し天女 犯 を戒 多る奈り
ひゑんま ぶつせつ いで 奈 尓よ本ん いましめ
ひえんまはもとぶっせつよりいでたるなにしてにょぼんをいましめたるなり
人 の女 尓迷 ひ天身を亡 し家 越失 ふ越さとさしむ飛縁 魔
ひと をん奈 まよ ミ 本ろ本゛ いゑ うし奈 ひゑんま
ひとのおんなにまよいてみをほろぼ しいえをうしなうをさとさしむひえんま
おやま
縁 障 女 登も訓 春゛又 外面 似菩薩 内 心 如 夜叉 とも
ゑんせう尓よ くん ま多げめんぎ本さつ奈い志ん尓よやしや
えんしょうにょともくんず またげめんぎぼさつないしんにょやしゃ とも
可くれめ
説 天顔 と心 とハ格 別 尓し天恐 路しきハ女 人 奈連者゛
とき 可本 こゝろ 可くべつ お曽 尓よ尓ん
ときてかおとこころとはかくべつにしておそろしきはにょにんなれば
(大意)
第二飛縁魔
飛縁魔とはもと仏説より出た名で、女犯(にょぼん)を戒めた言葉である。
人が女に迷って身を滅ぼし、家を失う(ことの愚かさ)を諭している。飛縁魔
縁障女(ひえんまえんしょうにょ)ともいう。また「外面似菩薩内心如夜叉(げめんぎぼさつないしんにょやしゃ)」(おやまかくれめ)とも説いて、顔と心とがまったく異なっていて恐ろしいのが女であるのだから
(補足)
現代の男性諸氏年令を問わずに耳のとても痛い、教えを説いてくださっております。しかし、説かれてもすでに時遅しという方々もたくさんおられるはず。それでもありがたく耳を傾けるべし。
「外面似菩薩内心如夜叉(げめんぎぼさつないしんにょやしゃ)」、漢字をそのまま読めばよいだけです。外面は菩薩に似て、内の心は夜叉の如し。本当にその通りでしょう。
「出多る奈尓し天」、変体仮名「多」と「し」を読み飛ばしてしまいそうです。
「人の女尓迷ひ天」、よその女に惚れてしまうという浮気を言っているのではありません。
「し」がひとつ上の文字に重ねてある書き方が(振り仮名でも)目立ちます。
「可くれめ」、「く」が判別しにくいですが、「訓春゛」(くんず)の振り仮名「く」と同じ形です。「く」の下側が、斜め右下にではなく水平に平らです。
「顔」のくずし字の偏「彦」はさすがに簡略にくずせません。普通は偏の部分は適当になのですが。
「格別」、それぞれが別であること。「木」偏をとって各別。次の変体仮名「路」(ろ)の旁「各」のくずし字が同じ形です。
「恐路しきハ」、「し」と「き」の一画目がつながって「し多さ」にもみえてしまう。「恐」のくずし字は「心」の上が「|」プラス「口」のような形。「思」は「ツ」。
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