P19前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 六 死 神
多゛以ろく志尓可゛ミ
だ いろくしにが み
俗 尓死 神 と云 ハ夭 孽 招 禍 と天悪 念 有 て果 多るもの
曽゛く 死尓可゛ミ いふ よう个゛つせうくハ 阿く年んあり 者て
ぞ くにしにが みというはようげつしょうか とてあくねんありてはてたるもの
農氣又 悪 念 有 者 尓応 じて阿しき所 へ引 入る也 紙 谷治
きま多阿く年んあるもの 於う ところ ひきい 可ミやじ
のきまたあくねんあるものにおうじてあしきところへひきいるなりかみやじ
兵衛の浄 瑠璃尓も死 神 の誘 出 してやと書 しハ作 者 農
へい ぜう るり し尓可゛ミ さ曽ひ多゛ 可き さくしや
へいのじょうるりにもしにが みのさそいだ してやとかきしはさくしゃの
働 詞 也 心 尓死越思 ふ時 ハ忽 此 氣尓感 春゛る奈りされバ
者多らき こゝろ し 於も とき 多ちまちこのき 可ん
はたらきなりこころにしをおもうときはたちまちこのきにかんず るなりされば
(大意)
第六死神
俗に死神というのは妖孽招禍(ようげつしょうか)といって、悪心を持ったまま果てた者
の気が、また(同じく)悪心あるものに働きかけて悪しき所へ引き入れるのである。紙屋治
兵衛の浄瑠璃にも「死神の誘出してや」と書いたのは作者の
功績である。心に死を思うときにはたちまちこの気を感ずるものである。だから
(補足)
「妖孽招禍」、「招禍」は目にしますが「妖孽」(ようげつ)は初めて、本文のほうの「げつ」は「艹」+「避」の辶なし+「ホ」ですが、辞書のほうは「艹」+「追」の辶なし+「辛」+「子」です。どちらにしても聞いたことも目にしたこともありませんでした。漢字は部品を組み合わせて千変万化。
変体仮名「農」(の)が2箇所にあります。文章のながれで使い分けるのでしょうが、まぁ気分次第と理解しています。
「気」のくずし字は、4画目までの部分が冠になってます。よくある変形で「間」なども同様にくずされています。
「阿しき」、「し」を読み落としそう。
「書」のくずし字、「小」+「口」のようなかたちでよく出てきます。
「働詞」(はたらき)にちかいものを辞書で引くと「働き詞」(はたらきことば)があり、「用言」・「動詞」の旧称とありました。
「感」が「惑」とほとんど同じかたちです。
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