P1前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
桃山人夜話巻第二
第 十 豆 狸
多゛以志゛うまめ多ぬき
だ いじゅうまめたぬき
豆 狸 登云 ハ大 きさ狗 の如 く尓し天至 天かしこく常
まめ多ぬき いふ 於本 いぬのこ ごと い多つ つ年
まめたぬきというはおおきさいぬのこのごとくにしていたつてかしこくつね
の多ぬきとハ異 那る毛の奈りをのれ可゛陰 嚢 尓息
こと きん多満 いき
のたぬきとはことなるものなりおのれが きんたまにいき
をふき可け天引 の者゛須時 ハ八 畳 敷 尓余 れり依
ひき とき 者ちぜう しき 阿ま よつ
をふきかけてひきのば すときははちじょうしきにあまれりよっ
(大意)
桃山人夜話巻第二
第十豆狸
豆狸というのは子犬くらいの大きさで大変に賢く、ふつうの
たぬきとは異なるものである。自分の陰嚢に息を
吹きかけて引き伸ばすと八畳敷に余る広さになる。(よって)
(補足)
「如く尓し天至」、変体仮名「天」(て)の「く」の中央が切れてしまっているのでわかりにくい。
「至」の振り仮名「い多つ」の「多」が小さい。
「毛の奈り」、「も」が「ものなり」と使われるときは変体仮名「毛」はこの形のくずし方が多いです。
振り仮名「きん多満」は当て字ですが、書籍によっては「隠」としているものがあります。「陰」と「隠」のくずし字を調べたのですがよくわかりませんでした。図の説明文には「陰嚢」と記されています。
「息を」、ここの「を」は変体仮名「者」(は)に似ています。
「敷」のくずし字は「ノ又」部分が下部にくるようなものがほとんどで、ここの「補」のようなかたちのものはみあたりません。
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