P10前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
まどハされ天家 国 越失 ひ身を亡 し多る毛の春く
いゑく尓 うし奈 ミ ホろ本゛
まどわされていえくにをうしないみをほろぼ したるものすく
奈可し須゛毛路こし夏の桀 王 の妹 嬉殷 の紂 王 の
可 个つ王う ま以きゐん ちう わう
なかしず もろこしかのけつおうのまいきいんのちゅうおうの
妲 己周 の幽 王 の褒 娰ホ 皆 飛縁 魔奈り去 者゛
多゛つき志う ゆうわう 本うじとうミ奈ひゑんま され
だ つきしゅうのゆうおうのほうじとうみなひえんまなりされば
飛縁 魔尓見入 らるゝ者 ハ身 帯 ハいふもさら尓して身の
ひゑんま ミいれ もの 志ん多゛以 ミ
ひえんまにみいれらるるものはしんだ いはいうもさらにしてみの
腎 精 浄 血 迄 も吸 とら連て遂 尓これ可゛多免尓
志゛んせいせい个つまで 春い つゐ
じ んせいせいけつまでもすいたられてついにこれが ために
(大意)
惑わされて家や国を失い身を亡ぼすものは
少なくない。唐土の国、夏の桀王の妹嬉(まいき)、殷の紂王の
妲己(だつき)、周の幽王の褒娰(ほうじ)などみな飛縁魔である。だから
飛縁魔にみいられたものは身代は言うに及ばず、からだの
精力や生き血までも吸いとられてしまい、この女ために
(補足)
「家国越」、漢字だけ読むと「家出」とみえてしまいます。「国」のくずし字はいくつかありますがここのは「出」ににています。
「毛の」、「毛路こし」、変体仮名「毛」(も)はなれても読みづらい。
「見入らるゝ者ハ」、「ら」の次が変体仮名「里」(り)にもみえますが、それでは文章がつながりません。
「いふもさら尓して」、「ら」がわかりにくいですが、文章のながれから「ら」。
飛縁魔の例として夏・殷・周の妃たちをあげていますが、はたして読んですぐにそうだそうだとうなずく人はどれくらいいたことかと、自分の無学を慰めます。
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