P20後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
後 何 連も毛の春ごし雨 の後 抔 尓燃 立 多るを木の間
のちいづ あめ のち奈ど もえ多ち こ ま
のちいずれもものすごしあめののとなどにもえたちたるをこのま
可゛くれ尓ミれ者゛人 のつどい天毛のいふさま奈ど尓こと奈
ひと
が くれにみれば ひとのつどいてものいうさまなどにことな
ら春゛哀 尓物 春ごくして春さ満じきものハ野宿 火也
あハれ 毛の の志゛由くび
らず あわれにものすごくしてすさまじいものはのじ ゅくびなり
(大意)
(去った)後など、いずれも不気味なものである。雨のあとなどに(ゆらゆら)と燃え上がっているのが木の茂みのあいだから見え隠れするのをみれば、人が集まって語らっている様子などと異なることはない。哀れで不気味で恐ろしいものは野宿火である。
(補足)
最初の「後」は楷書を少しくずした感じで読みやすいですが、「雨の後」のほうはくずれずぎて読めません。
「何連も毛の春ごし」、「も」の平仮名と変体仮名が連続してます。「ものすごし」は現在の意味の「物凄い」ではなく「なんとなく不気味そうな感じ」の意。2行後には「物春ごくして」と再登場。
「燃立多る」、「立」の振り仮名がかすれていますが(多ち)でしょう。「燃」が本文では「然」になってます。2行前でも。
「木の間」、「間」のくずし字は特徴的、頻繁に使われます。「門」(もんがまえ)が冠のように変化します。
「人のつどい天」、「い」が悩む。次の「毛のいふさ満」の「い」はOK。
「哀」、振り仮名がないとまず読めない。次に出てきても読めないとおもう。
「野宿火」、「野」は楷書風ですが「宿」は別物、「火」はまぁなんとかOK。
焚き火を囲んでいた人たちが火を始末して立ち去った後も、木の茂みの間から消したはずの火がチョロチョロと立ち上がっている(ようなも)のを見ると、まるで立ち去った人たちがまだ焚き火を囲んでいるように見えてしまう。あぁなんと不気味なことだろう。また悲しくもあり恐ろしいことだ。というような感じなのでしょうか。わからないときのフィクションだのみであります。
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