P15後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
日 程 を経天馬 の重 荷越負ふ可゛ごとき真似を
尓ち本ど へ うま 於も尓 於 ま袮
にちほどをへてうまのおもにをおうが ごときまねを
奈し天死し多り个り去れバ牛 馬 ホ ハ分 天人 の労 越
し され ぎうバ とう 王け ひと らう
なしてししたりけりさればぎゅうばとうはわけてひとのろうを
助 る毛の奈連バい多ハるべきこと奈り个り時俗 是 与り
多春く じ曽゛くこれ
たすくるものなればいたわるべきことなりけりじぞ くこれより
狼 狽 騒 ぐこと越長 次郎馬 天゛も呑 多゛可と云 習 せり
うろ多へさ王 てう じろうま のん いひ奈らハ
うろたえさわぐことをちょうじろうまで ものんだ かといいならわせり
(大意)
(百)日程経って、馬が重荷を背負うような格好を
して死んでしまった。さて、牛や馬はとりわけ人の労(働)を
助けるものであるから、いたわってやるべきである。世間ではこれより
狼狽し騒ぐことを「長次郎馬でも呑んだか」と言い習わすようになった。
(補足)
「百」のくずし字が「国」とほとんど同じです。
「経」のくずし字は次に出てきても読めないかも。くずし字辞典にものってませんでした。
「こと」+「゛」、「こと」は合字、これで一文字。2行あとと3行あとにもでてきます。
「分」のくずし字は「彡」+「ヽ」。
日本の諸国には馬刺しで食する習慣のあるところがたくさんあります。まさしく「馬を食う」わけです。馬刺し食は近代になってからのことでしょうか。
江戸後期になって西洋人がたくさん訪れるようになりますが、彼らの見聞録を読むと、日本人たちの馬の扱いがとても下手であるというのが共通しています。
ここの話は実は馬を呑んだのではなく、馬に呑まれたというおはなしなのかもしれません。
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