2021年9月25日土曜日

桃山人夜話巻一 その43

P24前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

第  九周防  大 蟆

多゛いく春ハうの於本可゛ま

だ いくすおうのおおが ま


岩 国 山 の奥 尓八 尺  許   の可゛満有 日 中  尓虚空 越むき

い王く尓やま をく 者つしやく者゛可り    あり尓つちう  こくう

いわくにやまのおくにはっしゃくば かりのが まありにっちゅうにこくうをむき


天口 越開 バ虹 の如 き氣越者く此 氣ニふるる鳥  類 虫 ホ 者

 くち あけ 尓じ ごと き   このき    てう る以むしとう

てくちをあけばにじのごとききをはくこのきにふるるちょうるいむしとうは


皆 可゛満の口 尓入れり夏 者蛇 越喰 へり旧  鼠の猫 を者むニ

ミ奈    く千 い  奈つ へび くら  きう 曽 袮こ

みなが まのくちにいれりなつはへびをくらえりきゅうそのねこをはむに


(大意)

第九周防大蟆

(周防の国)岩国山の奥に八尺あまりの大がまがいた。日中何もない空を向い

て口を開ければ虹のような気を吐く。この気に触れた鳥類や虫などは

みな大がまの口に入ってしまう。夏は蛇を食ってしまうが、これは「窮鼠猫を噛む」と

(同じことである。)

(補足)

 歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)と現代仮名遣いの表記の規則が、いまひとつというか、人に説明できるほど、恥ずかしいことに理解できていません。本で調べたり、現在ではネットでも簡単にあれこれ学ぶことができるのですが、ますます混乱するだけといった感じになってます。ともかく「周防」の振り仮名は「春ハう」となってます。

「開」、「門」(もんがまえ)は「冖」(わかんむり)になります。

「蟆」「虹」「蛇」、ふたつは「虫」偏なのに「中」、「虹」のほうは「丶」がないだけ。

「鳥」のくずし字が、「多」の変体仮名に似てます。

「春夏秋冬」はくずし字を学ぶときたいていは早い段階で学習します。久々に「夏」のくずし字をみるとさてこんなかたちであったかと・・・

「きゅうそ」は「窮鼠」でしょうけど、本文では「旧」(きゅう)とあてています。間違いか?

 

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