P10後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
命 越失 ふ奈り故 尓女 の紅粉於しろ以を附 る越
いのち うし奈 ゆへ をん奈 べ尓 つけ
いのちをうしなうなりゆえにおんなのべにおしろいをふけるを
化粧 と云うけせう 登ハ化 粧 ふこと奈り一 休 和尚
けせう 者゛けよ曽本 いつきう おせう
けしょうというけしょうとはば けよそおうことなりいっきゅうおしょう
女 の化粧 春るを見給 ひ天狐 の藻越い多ゞき天
をん奈 かせう み多満 きつ年 も
おんなのけしょうするをみたまいてきつねのもをいただきて
髑 髏 越冠 美女 尓化 る尓異 奈ら須゛登云 ひ个里
しやれ可うべ 可むりびぢよ 者゛け こと の多満
しゃれこうべをかむりびじょにば けるにことならず とのたまいけり
(大意)
命を失うことになる。故に女が紅や白粉(おしろい)をすることを化粧という。
化粧とは化(ば)け粧(よそお)うことである。一休和尚は
女が化粧をするのをご覧になって「狐が藻を頭にのせて
髑髏(しゃれこうべ)を冠(かぶ)る美女に化けるのと変わらない」と
おっしゃっている。
(補足)
「命」、この頁の中では一番わかりにくというか読めない。難読くずし字。
「故」、ここのくずし字は「古」のかたちが残ってますが、英小文字「m」のようなかたちが多いです。
「紅粉」、「粉」の「分」のくずし字は「彡」+「丶」。
「於しろ以」、「於」のくずし字より、変体仮名「於」(お)のかたちの方がわかりやすい。
「髑髏越」、ここの「越」はほぼ原型が残っています。
「冠」のくずし字も「命」も、くずし字辞典に残念ながらのっていませんでした。
「異奈ら須゛」、異体字「己」+「大」。よく出てきます。
「云」に「の多満」と振り仮名をあてています。
化粧を「化(ば)け粧(よそお)うこと」に異論はありませんが、何も一休さんをだしてくることはないとおもうし、それに狐が藻云々、髑髏云々なんて言ってないとおもいたい。
飛縁魔(ひのえんま)は男にとりついて何もかも亡ぼしてしまうということですが、「ひのえんま」の音[hinoenma]はそのまま[hinoeuma] →「ひのえうま」、丙午生まれの女のいわれにつながるんでしょうか。はてさて・・・
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