2021年9月4日土曜日

桃山人夜話巻一 その22

P10後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

命  越失  ふ奈り故 尓女  の紅粉於しろ以を附 る越

いのち うし奈   ゆへ をん奈 べ尓     つけ

いのちをうしなうなりゆえにおんなのべにおしろいをふけるを


化粧  と云うけせう 登ハ化  粧  ふこと奈り一 休  和尚

けせう          者゛けよ曽本     いつきう おせう

けしょうというけしょうとはば けよそおうことなりいっきゅうおしょう


女  の化粧  春るを見給 ひ天狐  の藻越い多ゞき天

をん奈 かせう    み多満  きつ年 も

おんなのけしょうするをみたまいてきつねのもをいただきて


髑  髏  越冠  美女 尓化  る尓異 奈ら須゛登云  ひ个里

しやれ可うべ 可むりびぢよ 者゛け  こと     の多満 

しゃれこうべをかむりびじょにば けるにことならず とのたまいけり


(大意)

命を失うことになる。故に女が紅や白粉(おしろい)をすることを化粧という。

化粧とは化(ば)け粧(よそお)うことである。一休和尚は

女が化粧をするのをご覧になって「狐が藻を頭にのせて

髑髏(しゃれこうべ)を冠(かぶ)る美女に化けるのと変わらない」と

おっしゃっている。

(補足)

「命」、この頁の中では一番わかりにくというか読めない。難読くずし字。

「故」、ここのくずし字は「古」のかたちが残ってますが、英小文字「m」のようなかたちが多いです。

「紅粉」、「粉」の「分」のくずし字は「彡」+「丶」。

「於しろ以」、「於」のくずし字より、変体仮名「於」(お)のかたちの方がわかりやすい。

「髑髏越」、ここの「越」はほぼ原型が残っています。

「冠」のくずし字も「命」も、くずし字辞典に残念ながらのっていませんでした。

「異奈ら須゛」、異体字「己」+「大」。よく出てきます。

「云」に「の多満」と振り仮名をあてています。

 化粧を「化(ば)け粧(よそお)うこと」に異論はありませんが、何も一休さんをだしてくることはないとおもうし、それに狐が藻云々、髑髏云々なんて言ってないとおもいたい。

飛縁魔(ひのえんま)は男にとりついて何もかも亡ぼしてしまうということですが、「ひのえんま」の音[hinoenma]はそのまま[hinoeuma] →「ひのえうま」、丙午生まれの女のいわれにつながるんでしょうか。はてさて・・・

 

0 件のコメント:

コメントを投稿