P23前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 八 寝肥
多゛以者ち袮ぶとり
だ いはちねぶとり
寝肥 ハ病 名 寝惚堕 也 女 の病 のひとつ奈り俗 尓寝
袮ぶとり びやうめい袮ぶとり をん奈 やまひ 曽゛く 袮
ねぶとりはびょうめいねぶとりなりおんなのやまいのひとつなりぞ くにね
者ゞ可里とて袮ごきを戒 多る也 昔 奥 州 尓女 有 十布の菅
いましめ む可しをう志う をん奈ありとふ 春げ
はばかりとてねごきをいましめたるなりなかしおうしゅうにおんなありとふのすげ
ごも尓己 れ七 布ニ袮天男 を三布尓袮可せり歌 尓ミちのくの十
をの 奈ゝふ をとこ ミふ う多 と
ごもにおのれななふにねておとこをみふにねかせりうたにみちのくのと
布の春げごも七 布尓ハきミ越袮させ天王れハ三布袮ん登詠 多り
ふ 奈ゝふ ミふ よミ
ふのすげごもななふにはきみをねさせてわれはみふねんとよみたり
(大意)
第八寝肥
寝肥の病名は「寝惚堕」である。女の病のひとつである。俗に
「寝はばかり」といい、寝ごき(寝坊)を戒める言葉である。
昔、奥州に女がいた。十布(とふ)の菅薦(すげごも)に、自分は七布に寝て、男を三布に寝かせた。歌に
「みちのくの十布の菅薦七布にはきみをねさせてわれは三布にねん」と詠んだ。
(補足)
「寝」の「宀」が「穴」になってます。「寝肥」は当て字です。「寝惚堕」も同じですけど、当て字度は「寝肥」のほうが断然高い。
「菅薦(すげごも)」は菅で編んだ莚(むしろ)。
変体仮名「尓」(に)や同じく英筆記体小文字「y」(に)やカタカナ「ニ」が大小出てきてます。
もしかしたら、大きさの違いは音読するときの声の大きさに準じているのでしょうか。小さい「に」はその前の文章の息継ぎのように声を抑えてはくように発声し、大きい「に」はその前の単語を強調するために強くはっきりと発声する。それを意識して音読するとなんとなく納得してしまいます。
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