P21 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
野宿 の火
のし由く ひ
のしゅくのひ
きつね火尓毛あら春゛草 原 火尓て毛奈く
び さう个゛んび
きつねびにもあらず そうげ んびにてもなく
春 ハ桜 可゛り秋 ハ紅葉 可゛りせしあ登尓
者る さくら あき もミち
はるはさくらが りあきはもみじが りせしあとに
火もえあ可゛り人 の於本くさ王ぎう多唱 ふ
ひ ひと う多
ひもえあが りひとのおおくさわぎうたうたう
聲 のミ春るハ
こへ
こえのみするは
野宿 の火と
のし由く ひ
のしゅくのひと
いふもの
いうもの
奈らん
ならん
(大意)
きつね火でもなく、草原火でもなく
春は桜狩り、秋は紅葉狩りをした跡に
火が燃え上がり、人が大勢騒ぎ、歌を唄う
声だけが聞こえてくるのは
野宿火というものであろう
(補足)
一行目に変体仮名「毛」(も)がふたつあります。最初のはわかりやすいですけど、次のがかたちがわかりにくい。前後の流れで読むしかなさそうです。
「あら春゛」、「ら」がながれて「し」のよう。最後の行「奈らん」の「ら」はまた異なる形。
「桜」が「櫻」でもなく、かたちがわかりません。
「さ王ぎ」、「王」と「き」の一画目が近くになっていてわかりずらい。
「声」は旧字「聲」でしょう。
「野」のくずし字が偏の「里」を「田」と「土」に分解して「土」を下部にもってきたようなかたちになってます。
ただ火が燃え上がっているだけでは焚き火の残り火が再び燃え上がったように見えてしまうので(桜or紅葉の)木の枝にボロ布を幕にして風情をだしているともおもえませんが、まぁそれでも焚き火跡にしか見えないのはわたしの粗末な頭の限界であります。
徒然草にいくつもでてくる噺のようでもありますけど、夜話の噺としてはいまひとつゾクッと感がありませんでした。
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