P11後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
世法 の妨 を奈春依 天佛経 尓も狐 尓多ぐへて疑心 にた
せ本う さ満多け よつ ぶつ个う きつ年 ぎしん
せほうのさまたげをなすよってぶっきょうにもきつねにたぐえてしんにた
とへり只 恐 るべきハ自己の悪 念 奈りこの貪 着 を
多ゞ於曽 じこ あく袮ん とんぢやく
とへりただおそるべきはじこのあくねんなりこのとんちゃくを
さらざる時 ハ佛 登いへどもきらい恐 連給 ふと有
とき 本とけ 於曽 多満 あり
さらざるときはほとけといえどもきらいおそれたまうとあり
世尓恐 路しきこと越こ王いと云 ハ是 より出 多る詞 也
よ 於曽 いふ これ いで こと者゛
よにおそろしきことをこわいというはこれよりいでたることばなり
(大意)
俗世間の法に妨げをなす。よって仏経の経典にも(狐者異を)狐になぞらえ、疑いの心をもつことにたとえている。「ただ恐ろしのは自分の悪事を行おうとする考えである。この執着を
なくさない限り、いくら佛様でも避けてお恐れなさる」と記してある。
世間で恐ろしいことを「こわい」というのは、ここから出た言葉なのである。
(補足)
「疑」のくずし字を辞書で調べてみると、ここの形の(近いもの)ものはありませんでした。
「たとへり」、平仮名「た」も使われています。
「自己」、「自」のくずし字の筆順がすごい。「旬」に近い書き順です。
「貪着」(とんじゃく)、仏教用語のようで、意味は「頓着」と同じです。「貪」は「貧」に似てますが上部が「今」。
「きらい」がちょっと読みづらい。
「詞」(こと者゛)、振り仮名の「こ」と「と」は両方とも似たような形です。「者゛」は「で」に見えますが、拡大するとかろうじて「む」の下側が流れている形になっています。
最後の一行は、なんかこじつけっぽいお話であります。この2頁あとに「狐者異」の画がでてきますが、そちらのほうが内容があっておもしろい。
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