p20前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 七 野宿 火
多゛以志ちの志゛由くび
だ いしちのじ ゅくび
田舎 道 ハ更 尓天街 道 山 中 抔 いづこ尓も阿り誰可゛焚
い奈可ミち さら 可いどうやま奈可奈ど 多 多き
いなかみちはさらにてかいどうやまなかなどいずこにもありたが たき
捨 多るとハ奈し尓人 奈き跡 尓本と\/と燃 上 りてハ消きえ
春て ひと 阿と もえあ可゛ き
すてたるとはなしにひとなきあとにほとほとともえあが りてはききえ
天ハ又 毛由志多゛し焚 志免多る本むろの消 天ハ燃 るを野
ま多 多き きえ も由 の
てはまたもゆしだ したきしめたるほむろのきえてはもゆるをの
宿 火と云 乞 食 の暁 起 出 多る跡 遊山 尓人 の去 たる
志゛由くび いふこつじき あ可つき於きいで 阿とゆさん ひと さり
じ ゅくびというこつじきのあかつきおきいでたるあとゆさんにひとのさりたる
(大意)
第七野宿火
田舎道はいうまでもなく街道や山中などどこにでもある。誰が焚き
捨てたというわけではないが、人のいないところでほとほとと燃え上がっては消え、消え
てはまた燃える。少しずつ焚き上がってゆく炎の消えては燃えるのを
野宿火という。乞食が暁に起き出した跡や遊山の人が去った(後など)
(補足)
妖怪ではなく野宿火という怪火のはなしです。
「本と\/と」、「\/」に気づけばわかりますが、初見では悩みます。「ほとほと」は辞書では、「ことこと」のように木製のものが何かにあたったり打たれたりしてたてる音とあります。
「燃上りてハ消きえ天ハ」、「消」(き)とありますが振り仮名に「え」をわすれたのか、それともわざと「え」を省略したのか?。次の行には「消天ハ」の振り仮名には(きえ)とあります。
「毛由」、ここで文章がきれるのが最初は気づきませんでした。
「志多゛し焚志免多る本むろの消天ハ燃る」、「しだし」がよくわかりませんが、チョロチョロと消えそうで消えない様をあらわしていることはわかります。
「野宿火」、ここの「野」のくずし字が古文書にはよく使われます。
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