2021年9月8日水曜日

桃山人夜話巻一 その26

P12後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

る時 漬 多る肉 の尽 个れバ老 馬 の用 尓多ゝざるをうち

 ときつけ  尓く つき   らう者゛ よう 

るときつけたるにくのつきければらうば のようにたたざるをうち


殺 し天喰 ひし尓夢 尓其 馬 長 司 可゛咽尓くひつくと

ころ  くら   ゆめ 曽のうまてうじ  のど

ころしてくらいしにゆめにそのうまちょうじがのどにくいつくと


見し可゛其 日与り馬 越殺 せし時刻 と奈連バ老 馬 の

ミ   曽の   うま ころ  じこく    らう者゛

みしが そのひよりうまをころせしじこくとなればろうば の


霊 来 りて長 司 可゛口尓いり腹 中  越い多免奈や満し

連以き多  てうじ  くち   ふくちう  

れいきたりてちょうじがくちにいりふくちゅうをいためなやまし


(大意)

ある時、漬けておいた肉がなくなったので、年とって役に立たなくなった馬を打ち

殺して食ったところ、夢にその馬が出てきて長司の咽に食いつくのを

見た。そしてその日より馬を殺した時刻になると殺した老馬の

霊が来て、長司の口に入り、腹を痛め悩まして


(補足)

「肉の尽个れバ老馬の用」、「肉」の一画目がありません。「尽」、中の点々が下部に出てしまったような形のくずし字。「用」、肉同様一画目がなく「那」の偏のような筆順と形です。

「喰ひし尓」、「し」がわかりにくい。「し」は長くなったり短くしたり、文字の左側にかさなったりと変化自在。

「口尓いり」、「り」が形をなしていませんが、流れで理解。

「腹」、偏の「月」がこんな形のもあるんですね。

「奈や満し」、「し」をよみとばしそう。

 

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