P11前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
第 三 狐者異
多゛以さんこハゐ
だ いさんこわい
狐者異ハ我 慢 豪 情 の一 名 尓して世話尓云 無分 別 者 也
こ王ゐ 可゛まんごうぜう いちミやう せ王 いふむふんべつもの
こわいはがまんごうじょうのいちみょうにしてせわにいうむふんべつものなり
生 てハ法 尓可ゝハら須゛に人 を恐 れ春゛人 の毛のを取 くらひ死して
いき 本お ひと 於曽 ひと とり し
いきてはほうにかかわらず にひとをおそれず ひとのものをとりくらいしして
ハ妄 念 執 着 の思 ひを引 天無量 の可多ちを顕 し仏 法
もう袮ん志うちやく 於も ひき むりやう 阿らハ ぶつ本う
はもうねんしゅうちゃくのおもいをひきてむりょうのかたちをあらわしぶっぽう
世法 の妨 を奈春依 天佛経 尓も狐 尓多ぐへて疑心 尓た
せ本う さ満多け よつ ぶつ个う きつ年 ぎしん
せほうのさまたげをなすよってぶっきょうにもきつねにたぐえてしんにた
(大意)
第三狐者異
狐者異(こわい)は高慢・強情のもうひとつの名にして、世間に言う無分別者のことである。
生きているうちは法にこだわらず人を恐れず人のものを奪って食い、死んでからは
邪悪な思いに執着して引きずり、様々な姿であらわれ、仏道や
俗世間の法に妨げをなす。よって仏経の経典にも(狐者異を)狐になぞらえ、疑いの心をもつことにたとえている。
(補足)
「狐者異」、見出しの「異」とはことなり、こちらは異体字「己」+「大」。
「我慢」、「我」のくずし字は、あたまの「丶」がなければ変体仮名「奈」とおなじ形。
「分」のくずし字は「彡」+「丶」。
「須゛」「春゛」、使い分けは気分次第。それとも発音がことなったのか?
「無量」、振り仮名が「しやう」にみえますが、「リ」の左側を忘れたか。
「仏法」「佛経」、「仏」の使い分けがあるとおもうのですが、単語の組み合わせかも。
「佛経尓も狐尓多ぐへて疑心尓」、変体仮名「尓」(に)は英小文字筆記体「y」のかたちもあります。
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