2021年8月31日火曜日

桃山人夜話巻一 その18

P8 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

飛 縁 魔

ひのえんま

ひのえんま


顔 可多ちう津くし个れど毛いと

可本

かおかたちうつくしけれどもいと


お曽路しきもの尓天夜奈\/

         よ

おそろしきものにてよなよな


出 天男  の精 血 を吸 つゐ尓者

いで 於とこ せい个つ 春ひ

いでておとこのせいけつをすいついには


とり殺春と奈む

  ころ

とりころすとなむ


(大意)

飛縁魔

顔かたちは美しいのだが、大変に

恐ろしいもので、夜ごと

あらわれ、男の生き血を吸い、ついには

とりついて殺してしまうということだ。


(補足)

飛縁魔の振り仮名は、現在と同様の現代仮名遣い。「飛」のくずし字の「九」に似た形は他の漢字のくずし字にもよく見られる形です。

「う津くし」、変体仮名「可」(か)と平仮名「う」はほとんど同じ形です。ここの「う」よりも3文字上の変体仮名「可」のほうがよほど「う」らしくみえます。

わかりずらい変体仮名「毛」(も)、変体仮名「路」(ろ)がつづきます。

「もの尓天」、ここの変体仮名「尓」(に)は英筆記体小文字「y」の小さいかたち。

 蓮の花咲く池が地獄を連想させます。


 

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