P1後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
本゛袮も怪異の姿 尓ミえ天手を出 し天招 き口 を
けゐ 春可゛多 て 多゛ ま年 くち
ぼ ねもけいのすが たにみえててをだ してまねきくちを
開 天笑 ひ王れ尓懼 ろしゝ登思 へ者゛松 尓可け多類
あき 王ら お曽 おも まつ
あきてわらいわれにおそろししとおもえば まつにかけたる
草鞋 も首 を延 し天笠 のうちを覗 个り可れ?
王らんじ くび の者゛ 可さ の曽゛
わらんじもくびをのばしてかさのうちをのぞ けり(されば)
(大意)
(傘の古)骨も怪異の姿に見えて見えてしまう。古傘がおいでおいでと手招き
口を開けて笑っている。自分が恐ろしいと思ってしまうと、松の枝にかけてある
草鞋が首を延ばしてきて、笠のなかを覗くのではとビビってしまう。だから
(補足)
最後の三文字「可れ?」の部分は文脈からは「されば」ですが、どうみても一致するのは「れ」だけです。
変体仮名「袮」(ね)、元の字は「禰」。同じ行の下の方に変体仮名「年」(ね)があります。「◯」の横に尻尾がついた形です。
「懼 ろしゝ登」、繰り返し符号「ゝ」はよく使われます。平仮名「く」と間違えてしまいますが意味がおかしくなるのですぐに気づきます。
「松 尓可け多類」、「可」はほとんど点です、「候」も「点」であることがおおいですけど、頻繁に使われるものは著しく簡略化されてしまいます。変体仮名「類」(る)もほどほどあらわれますがたいていは変体仮名「留」(る)です。
「草」のくずし字は最初の1画目と2画目が冠のように大きい。
「个り」、変体仮名「个」(け)は「々」のような形。そのすぐ右に平仮名「け」があります。
要は、気の持ちようだよと述べているわけですが、そんなこと言ったってねぇ。怖いものは怖い。いろいろあることないこと想像しちゃうから人間なんですよ、そこから芸術も生まれるんですと、これは個人的な見解であります。
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