P2後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
狐 狸 の人 尓つき猫 鼠 の死人 尓さ満多げ春る奈ど
きつ年多ぬき ひと 袮こ袮づミ 志尓ん
きつねたぬきのひとにつきねこねずみのしにんにさまたげするなど
是 皆 其 入れ物 を可里天曽れ尓の里うつる奈り獣
これミ奈曽のい 毛の 志゛う
これみなそのいれものをかりてそれにのりうつるなりじゅう
怪 の妖 魔ハ春べ天虚 越窺 ふ毛の奈り志可れバ虚
く王い ようま きよ う可ゞ きよ
かいのようまはすべてきょをうかがうものなりしかればきょ
奈き人 尓魔のさ須と云 こと奈し狐 ハ人 を化 春ものと
ひと ま いふ きつ年 ひと 者゛可
なきひとにまのさすということなしきつねはひとをばかすものと
いへ者゛稲荷 山 尓天王ざと日をくら須者 も阿らざ
い奈りやま ひ 毛の
いえばいなりやまにてわざとひをくらすものもあらざ
(大意)
狐や狸が人についたり、猫や鼠が死人に妨げをするなどは
これはみな、その入れ物を借りてそれに乗り移ることによるためである。
獣怪という化け物はすべて人の心の隙を窺って入り込むものなのだ。そうであるから、
心に隙のない人に魔物が入り込むことはない。狐は人を化かすものだと教えてやれば
稲荷山でわざわざ日を暮らす者もいないだろう。
(補足)
「猫鼠の死人尓さ満多げ」が具体的にどのようなことをするのかがよくわかりません。
「魔のさ須と云こと奈し」、「さ」が小さくてわかりにくいですが、文脈から判断します。ここの「須」と次行の「くら須」が形がことなっています。
心に獣怪の入り込む隙をつくってはいけないと言っているわけですが、それでは獣怪の存在を認めてしまうことになってしまいます。でも、まぁ現代でも「魔がさす」という表現は普段から使われてますので、それほどこだわることではなさそうです。
0 件のコメント:
コメントを投稿