P6後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
奈りといふこと越か多く戒 ん可゛多め尓作 意越添
いまし さくゐ 曽ゑ
なりということをかたくいましんが ためにさくいをそえ
多る教 訓 奈りこれ与りきつ年の法 師尓化 るを
个う くん 本う 者゛け
たるきょうくんなりこれよりきつねのほうしにば けるを
白 蔵 主とハいひ奈らハし法 師の狐 尓似多るおこ
者く曽う春 本うし きつ年 尓
はくそうすとはいいならはしほうしのきつねににたるおこ
奈ひ春るをも白 蔵 主とハいひふらせり大和 のあ
者く曽゛う春 や満と
ないするをもはくぞ うすとはいいふらせりやまとのあ
し尓寺 のこと尓し多るハ倶 尓附会 の説 奈るべし
でら とも ふくわい せつ
しにでらのことにしたるはともにふかい のせつなるべし
(大意)
であることをかたく戒めとするために作られた
教訓の話である。これ以降、狐が坊主に化けることを
白蔵主と言い習わし、また坊主が狐に似たような行いを
することも白蔵主と言いふらした。大和の国の
あしな寺での出来事にしたのはどちらも無理なこじつけの
話にすぎない。
(補足)
「奈りといふこと越か多く戒ん可゛多め」、「こと」は合字。「戒ん」、振り仮名に「め」がぬけてしまったようです。「か多く」の「多」は変体仮名で「さ」の「一」がないようなかたち、「多め尓」の「多」も変体仮名ですが、もうひとつのかたちでほぼ原型を残しています。
「添」(曽ゑ)、拡大しても読みづらい。
論旨明快に述べていますが、狐が化けることをどうも完全には否定しきれてはいないような文章の運びであります。う〜む・・・
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