序2 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
賢 者 本うちう越遠 ざく累こと那くかる業
けんしゃ とを 王ざ
けんじゃほうちょうをとおざくることなくかるわざ
の木戸口 君 子も危 尓近 与らむ登欲 世り
きどぐちくんし 阿やうき ち可 本つ
のくどぐちくんしもあやうきにちかよらむとほっせり
左あ礼者゛化 毛の屋しきの賣 居 も見届
者゛け や うり春え ミとゞけ
さあれば ばけものやしきのうりすえもみとどけ
ざれ者゛氣尓可ゝ里百 物 語 の會 合 もこ王以
き ひやくもの可゛多り くハいがう
ざれば きにかかりひゃくものが たりのかいごうもこわい
毛能見多以可゛所 詮 奈らむ歟
ミ 志よせん 可
ものみたいが しょせんならむか
桃花山人題
とうかさんじんだい
(大意)
賢者は包丁を持たぬというウソや
身分のある人も、軽業の木戸口のような賑わうところへ来るし
危険なところへ近寄らないなどという気持ちにはならぬのだ。
そんな訳だから、(嘘とわかっていても入ってしまう)化け物屋敷の売上を
見届けなければ気になることだし
百物語の会合だって所詮は怖いもの見たさなのだろう。
(補足)
序の続きです。虫食いがあるところはあれこれ他の原本にあたれるところあたり、ない場合は想像で補います。
「遠ざく累こと」、変体仮名「累」(る)としましたが、あまりみませんですね。大抵は「留」「類」「流」ぐらいです。「こと」は合字で頻繁にあらわれます。「ごと」のときもあります。「ゟ」(より)はフォントがあるのですが、「こと」もほしいところです。
「かる業」、変体仮名「留」(る)はこのBlogでは「留」とはせずに「る」にしています。ひらがな「か」がときとしてあらわれますが、ほとんどは「可」。
「欲せり」、「欲」のくずし字はかたちで覚えるのみ。変体仮名「世」(せ)は「を」にみえます。
「左あ礼者゛」、「左」のくずし字、これまた「を」に似てます。「礼」のくずし字の「し」の部分が「丹」に見えるのは、「豊」を略したからかもしれません。「禮」が旧字。
「氣尓可ゝ里」、「ゝ」が判別しにくいですけど、頻繁にあらわれます。「留ゝ」(るる)など。
「こ王以毛能見多以可゛」、変体仮名オンパレード。変体仮名「毛」(も)は二文字のように見えてしまいます。よく出てきます。変体仮名「能」(の)は特徴的な形なのでわかりやすい。他に「乃」「農」など。
最後「歟」の偏のくずし字が「与」に似ています。「与」の旧字は「興」だからでしょう。そして全体のくずし字は変体仮名「飛」(ひ)にそっくりですし、次の「桃」の旁「兆」のくずし字がこれまた「歟」のくずし字とうり二つ。何がなんだかわからなくなります。
「桃山人」がここでは「花」があります。
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