2021年8月15日日曜日

桃山人夜話巻一 その2

序2 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

賢 者 本うちう越遠 ざく累こと那くかる業

けんしゃ     とを         王ざ

けんじゃほうちょうをとおざくることなくかるわざ


の木戸口 君 子も危   尓近 与らむ登欲 世り

 きどぐちくんし 阿やうき ち可    本つ

のくどぐちくんしもあやうきにちかよらむとほっせり


左あ礼者゛化  毛の屋しきの賣 居 も見届

     者゛け  や   うり春え ミとゞけ

さあれば ばけものやしきのうりすえもみとどけ


ざれ者゛氣尓可ゝ里百  物 語   の會  合 もこ王以

    き    ひやくもの可゛多り くハいがう 

ざれば きにかかりひゃくものが たりのかいごうもこわい


毛能見多以可゛所 詮 奈らむ歟

  ミ    志よせん   可

ものみたいが しょせんならむか


桃花山人題

とうかさんじんだい


(大意)

賢者は包丁を持たぬというウソや

身分のある人も、軽業の木戸口のような賑わうところへ来るし

危険なところへ近寄らないなどという気持ちにはならぬのだ。

そんな訳だから、(嘘とわかっていても入ってしまう)化け物屋敷の売上を

見届けなければ気になることだし

百物語の会合だって所詮は怖いもの見たさなのだろう。


(補足)

 序の続きです。虫食いがあるところはあれこれ他の原本にあたれるところあたり、ない場合は想像で補います。

「遠ざく累こと」、変体仮名「累」(る)としましたが、あまりみませんですね。大抵は「留」「類」「流」ぐらいです。「こと」は合字で頻繁にあらわれます。「ごと」のときもあります。「ゟ」(より)はフォントがあるのですが、「こと」もほしいところです。

「かる業」、変体仮名「留」(る)はこのBlogでは「留」とはせずに「る」にしています。ひらがな「か」がときとしてあらわれますが、ほとんどは「可」。

「欲せり」、「欲」のくずし字はかたちで覚えるのみ。変体仮名「世」(せ)は「を」にみえます。

「左あ礼者゛」、「左」のくずし字、これまた「を」に似てます。「礼」のくずし字の「し」の部分が「丹」に見えるのは、「豊」を略したからかもしれません。「禮」が旧字。

「氣尓可ゝ里」、「ゝ」が判別しにくいですけど、頻繁にあらわれます。「留ゝ」(るる)など。

「こ王以毛能見多以可゛」、変体仮名オンパレード。変体仮名「毛」(も)は二文字のように見えてしまいます。よく出てきます。変体仮名「能」(の)は特徴的な形なのでわかりやすい。他に「乃」「農」など。

最後「歟」の偏のくずし字が「与」に似ています。「与」の旧字は「興」だからでしょう。そして全体のくずし字は変体仮名「飛」(ひ)にそっくりですし、次の「桃」の旁「兆」のくずし字がこれまた「歟」のくずし字とうり二つ。何がなんだかわからなくなります。

「桃山人」がここでは「花」があります。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿