P5前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
塔 寺尓赴 可んと春るを狐 のさとり天白蔵主 を
多うじ 於もむ きつ年 者くさう春
とうじにおもむかんとするをきつねのさとりてはくぞうすを
た者゛かりい多゛し天喰ひころしミづ可ら蔵 主と化 天其
く さう春 者゛け 曽の
たば かりいだ してくいころしみずからぞうすとば けてその
寺 尓住 職 春ること凡 五十 年 の余奈りし尓同 国
てら 志う志よく 於よ曽ご志゛う袮ん 与 どうこく
てらにじゅうしょくすることおよそごじゅうねんのよなりしにどうこく
倍見の牧 尓志ゝ可゛里の有 个る時 人 尓交 り天見
へミ まき 阿り ときひと まじ 个ん
へみのまきにししが りのありけるときひとにまじりてけん
物 尓出 多りし可゛佐原 藤 九郎 登云 郷 士可゛家 尓飼
ぶつ いで さ王らとうくらう いふごうし いゑ 可
ぶつにいでたりしが さわらとうくろうというごうしが いえにか
(大意)
(宝)塔寺に行こうとしたところ、狐がこれに感づいて白蔵主を
だまして誘い出し食い殺し、みずから白蔵主と化けてその
寺に住職することおよそ50年あまりになった。同じ甲斐の国、
倍見の牧で鹿狩りが行なわれたとき、人にまじって見物に
出かけたところ、佐原藤九郎という郷士が飼う
(補足)
「赴可ん」、振り仮名「於もむ」の「も」が変体仮名「毛」ではなく「茂」のようにみえます。
「た者゛かり」、平仮名「た」もこのように使われますが、ほとんどは変体仮名「多」です。
「郷士」、「郷」のくずし字をくずし字辞典で確かめると、もっと簡略化されたものもありました。
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