P4後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
春尓化 天弥作 可゛もと尓いゝより殺 生 の罪 ハ後世のさゝハ
者゛け やさく せつせう つミ ごせ
すにば けてやさくが もとにいいよりせっしょうのつみはごせのさゝわ
里なれ者゛狐 をとること越や免よと天銭 壱 貫 文 をあ
きつ袮 ぜ尓いつく王んもん
りなれば きつねをとることをやめよとてぜにいっかん もんをあ
多え天罠 を持 帰 れりされども弥作 ハ過 王いの出
わ奈 もち可へ やさく 春ぎ で
たえてわなをもちかえれりされどもやさくはすぎわにので
来可゛多き越奈希゛き天白 蔵 主可゛もと尓い多りこと
き 者く曽゛う春
きが たきをなげ きてはくぞ うすが もとにいたりこと
のよしを歎 天ま多毛や銭 を得奈んと思 ひ宝
奈げき ぜ尓 え おも 本う
のよしをなげきてまたもやぜにををえんとおもひほう
(大意)
(白蔵)主に化けて弥作のところへ行って「殺生の罪は来生のさまたげ
になるから狐を捕ることを止めよ」と頼み、銭一貫文を
与えて罠を持ち帰った。しかし、弥作はそれでは暮らしていけないことを
嘆き、白蔵主のところへ行き、事の次第を嘆願した。再度銭を得ようとおもい宝
(塔寺)
(補足)
「もと尓い多り」、ここの「も」は「し」のように下までいったら、クルッと左回りに上がり、上部で今度は右回りにおりてきます。「と」がほとんど形がなくてわかりずらいですが、文章の流れから読みます。この3行あとにも出てきます。「い」と「多」が続いていてちょっとわかりずらい。
「後世」の読みは(こうせい)(ごせ)(ごせい)といろいろ。
「さゝハ里」(ささはり)、普段は「さわり」(障り)としか読んでいませんでした。
「とること越や免よ」、「こと」は合字。変体仮名「免」(め)はよく出てきます。
「銭」の旁がくずし字になってません。2行目の「残れり」では同じ旁「戔」でしたがくずし字です。
「帰れり」、振り仮名がないと読めません。
「過王い」(すぎわい)、漢字では「生業」(なりわい)。この読みは知りませんでした。
「奈希゛き天」、変体仮名「希」(き)は調べてやっと納得。たいていは「起」や「幾」。
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