2021年8月25日水曜日

桃山人夜話巻一 その12

P4後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

春尓化  天弥作 可゛もと尓いゝより殺 生  の罪 ハ後世のさゝハ

  者゛け やさく         せつせう  つミ ごせ 

すにば けてやさくが もとにいいよりせっしょうのつみはごせのさゝわ


里なれ者゛狐  をとること越や免よと天銭 壱 貫  文 をあ

     きつ袮           ぜ尓いつく王んもん

りなれば きつねをとることをやめよとてぜにいっかん もんをあ


多え天罠 を持 帰 れりされども弥作 ハ過 王いの出

   わ奈 もち可へ      やさく 春ぎ   で

たえてわなをもちかえれりされどもやさくはすぎわにので


来可゛多き越奈希゛き天白 蔵  主可゛もと尓い多りこと

き          者く曽゛う春      

きが たきをなげ きてはくぞ うすが もとにいたりこと


のよしを歎  天ま多毛や銭 を得奈んと思 ひ宝

    奈げき     ぜ尓 え   おも 本う

のよしをなげきてまたもやぜにををえんとおもひほう


(大意)

(白蔵)主に化けて弥作のところへ行って「殺生の罪は来生のさまたげ

になるから狐を捕ることを止めよ」と頼み、銭一貫文を

与えて罠を持ち帰った。しかし、弥作はそれでは暮らしていけないことを

嘆き、白蔵主のところへ行き、事の次第を嘆願した。再度銭を得ようとおもい宝

(塔寺)


(補足)

「もと尓い多り」、ここの「も」は「し」のように下までいったら、クルッと左回りに上がり、上部で今度は右回りにおりてきます。「と」がほとんど形がなくてわかりずらいですが、文章の流れから読みます。この3行あとにも出てきます。「い」と「多」が続いていてちょっとわかりずらい。

「後世」の読みは(こうせい)(ごせ)(ごせい)といろいろ。

「さゝハ里」(ささはり)、普段は「さわり」(障り)としか読んでいませんでした。

「とること越や免よ」、「こと」は合字。変体仮名「免」(め)はよく出てきます。

「銭」の旁がくずし字になってません。2行目の「残れり」では同じ旁「戔」でしたがくずし字です。

「帰れり」、振り仮名がないと読めません。

「過王い」(すぎわい)、漢字では「生業」(なりわい)。この読みは知りませんでした。

「奈希゛き天」、変体仮名「希」(き)は調べてやっと納得。たいていは「起」や「幾」。

 

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