P4前半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
子越多 くうミ个れども大 可多ハ弥作 可゛為 尓とられ
こ 於本 於本 やさく 多め
こをおおくうみけれどもおおかたはやさくが ためにとられ
て王づ可一 疋 残 れり親 狐 是 越恨 尓や思 ひ个ん寶 塔
いつひきのこ 於やぎつ袮これ うらミ 於も 本う多う
てわずかいっぴきのこれりおやぎつねこれをうらみにやおもいけんほう とう
寺登いふ尓弥作 可゛おぢの法 師と奈りて白 蔵 主と
じ やさく 本うし ハく曽゛う春
じというにやさくが おじのほうしとなりてはくぞ うすと
いへる阿り狐 此 こと越よく志りて阿る時 おぢの白 ざう
きつ袮この とき 者く
いえるありきつねこのことをよくしりてあるときおじのはくぞう
(大意)
子を多く産んだがそのほとんどは弥作のために捕られ
てわずか一疋が残った。親狐はこのことを恨みに思ったのだろう。宝塔寺
というお寺に弥作の叔父が坊主となっていて名を白蔵主と
いうことを狐はよく知っていた。ある時叔父の白蔵主
(補足)
「大 可多ハ」、「可」が小さく「大」の下に入ってしまい「太」に見えますが、振り仮名があるので間違えません。
「残れり」、「残」の旁「戔」(さん)のくずし字は「お」に似て特徴的です。
「宝塔寺」、ここの「宝」のくずし字は旧字の「寶」。
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