2021年8月27日金曜日

桃山人夜話巻一 その14

P5後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵

(読み)

ひ置 多る鬼 武 鬼 次 と天二疋 の犬 の有 个る可゛

 於き  於尓多け於尓つぐ  尓ひき いぬ 阿り

いおきたるおにたけおにつぐとてにひきのいぬのありけるが


是 可゛多め尓喰 こ路され天終 尓生 軆 を阿ら

これ     くひ     つい せう多以

これがためにくいころされてついにしょうたいをあら


ハし多り白 き老 狐の尾尓ハ白 銀 の者里の如

    志ろ らうこ を  志ろ可年    ごと

わしたりしろきろうこのおにはしろがめのはりのごと


き毛を生 し多る奈り人 \゛/其 多ゝ里阿らんこと越

 け せう     ひと   曽の

きけをしょうじたるなりひとびとそのたたりあらんことを


(大意)

(飼って)いた鬼武・鬼次という二匹の犬がいたのだが

この二匹に食い殺されてとうとう正体を

現したのだった。白い老狐の尾は白銀の針のような

毛になっていた。人々はその祟(たたり)があるのではと

(補足)

「置」は「罒」+「直」。くずし字はふたつの部品そのままです。「直」のくずし字は「ホ」+「一」のような形。

「多め尓」、ここの「多」は変体仮名ではなく、「多」のくずし字です。2行あとにもあります。

「喰こ路され天」、変体仮名「路」がからむと、注意深く前後を読まないとわかりにくい。

「生軆」は今では「正体」。「軆」は「体」の旧字で「身」を「豊」にする意。ちなみに「體」という旧字もあります。「軆」のくずし字は偏の「身」は確かに「身」のくずし字ですが、旁の「豊」は「本」のくずし字になってます。

「毛」は変体仮名の形ではなく、そのままの漢字です。一画目が「ゝ」になってます。

「生し多る」、「し」は上下左右どこにでも配置できます。

「阿らんこと越」、「ら」は形になってませんが「阿らん」でひとつと理解します。「こと」は合字。

 

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