P5後半 東京都立中央図書館特別文庫室所蔵
(読み)
ひ置 多る鬼 武 鬼 次 と天二疋 の犬 の有 个る可゛
於き 於尓多け於尓つぐ 尓ひき いぬ 阿り
いおきたるおにたけおにつぐとてにひきのいぬのありけるが
是 可゛多め尓喰 こ路され天終 尓生 軆 を阿ら
これ くひ つい せう多以
これがためにくいころされてついにしょうたいをあら
ハし多り白 き老 狐の尾尓ハ白 銀 の者里の如
志ろ らうこ を 志ろ可年 ごと
わしたりしろきろうこのおにはしろがめのはりのごと
き毛を生 し多る奈り人 \゛/其 多ゝ里阿らんこと越
け せう ひと 曽の
きけをしょうじたるなりひとびとそのたたりあらんことを
(大意)
(飼って)いた鬼武・鬼次という二匹の犬がいたのだが
この二匹に食い殺されてとうとう正体を
現したのだった。白い老狐の尾は白銀の針のような
毛になっていた。人々はその祟(たたり)があるのではと
(補足)
「置」は「罒」+「直」。くずし字はふたつの部品そのままです。「直」のくずし字は「ホ」+「一」のような形。
「多め尓」、ここの「多」は変体仮名ではなく、「多」のくずし字です。2行あとにもあります。
「喰こ路され天」、変体仮名「路」がからむと、注意深く前後を読まないとわかりにくい。
「生軆」は今では「正体」。「軆」は「体」の旧字で「身」を「豊」にする意。ちなみに「體」という旧字もあります。「軆」のくずし字は偏の「身」は確かに「身」のくずし字ですが、旁の「豊」は「本」のくずし字になってます。
「毛」は変体仮名の形ではなく、そのままの漢字です。一画目が「ゝ」になってます。
「生し多る」、「し」は上下左右どこにでも配置できます。
「阿らんこと越」、「ら」は形になってませんが「阿らん」でひとつと理解します。「こと」は合字。
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