2020年12月14日月曜日

豆本 猿加尓合戦 その12

P.7

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(読み)

やりやせう

やりやしょう


者ち「奈んでも可本を▲

はち「なんでもかほを


▲め可゛けて

 めが けて


や多ら尓さし

やたらにさし


てやらう」

てやろう


(大意)

やりましょう。

蜂「なんとかして顔を

めがけて

むちゃくちゃに刺してやろう


(補足)

「奈んでも」(なんでも)、現在では、はっきりしないことやどうやらといった意味がほとんどです。ここでは「何が(なんでも)行くしかない」のように、すべての物事に優先させるさまのこと。

「可本」(かほ)、ちょっと「可尓」(かに)に見えてしまいます。助ける蟹を刺してしまっては変なので間違いに気づきますけど。

 右肩に手ぬぐいをかけ粋な着流し姿、美男の蜂の刺兵衛、頭にのせているのは蜂ではありませんか。P4にすでに出演していました。「柿の葉っぱを付けている猿」とまったくの間違いをしてしまいました(P4は訂正済)。座っている黒羽織は玉子の黄身蔵、頭に玉子をのせなくとも顔の形でわかります。黄身蔵の耳がやけに細かく描かれています。

P6P7見開き

 座敷や縁側の板、屋外の草々などをみるとP6のほうがP7より若干摺りが濃いです。どんなに細かく描くことができても、摺りの濃さの調節は木版と同様、加減が難しいのでしょう。

 

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