2020年12月9日水曜日

豆本 猿加尓合戦 その7

P.4

P.5前半

(読み)

ゆへとらぬ」といへバさるハ「とりて

ゆへとらぬ」といえばさるは「とりて


やらん」ときへ可けの本゛りう満

やらん」ときへかけのぼ りうま


きハおの連可゛くらい志ぶ可起を

きはおのれが くらいしぶかきを


(大意)

(登れない)ので採らないのだ」と言うと、猿は「採って

やろう」と木へかけ登り、うまいのは

自分で食い、渋柿を


(補足)

 P4は文章はなし。柿の葉っぱを頭につけてるのは猿でしょうけど、ちょっと格好良すぎる美男の役者ぶり。縦縞の着物、左脚うしろにまくれたのまで丁寧に描いています。足元には食い散らかした柿がゴロゴロ。それにしても細線で描きこんでいる、拡大してみても細かい。

P5。

「由」(ゆ)、「や」。ちょうど二つ並んでいて比べやすい。両方とも筆の運びはほぼ同じ。「ゆ」は変体仮名「由」のなごりがあって、最後の縦におろすところがたいてい「く」のように若干曲がります。「や」は「つ」のように書き出して最後は右回りにクルッと回って素直に下へ。

「可けの本゛りう満きハ」、「可」と「う」はそっくりというより同じです。文意から区別するしかありません。変体仮名「満」(ま)が硬筆なので形がよくわかります。

「おの連」、変体仮名「連」(れ)も形がよくわかります。最初に縦棒、その左側に「ミ」のようにして筆を運び、「ミ」の3画目で最初に縦棒を横切り、あとは高さが縮まった「く」。

 恥ずかしながら・・・

柿の葉っぱを頭につけてるのは猿ではありませんでした。次頁で同一人物が登場、蜂の刺兵衛でありました。頭に乗せているのは蜂です。よく見ると目もあり胴体も尻の膨らみもありました。羽根が葉っぱに見えてしまいました。初心者はよくわからないと妄想で補ってしまいます。お許しを。

 

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