2019年5月28日火曜日

変事出来二付心得覚記 その194




 P.101a (貼り紙)10行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
兵 三 郎 申  様 、一 向 存不申    、親父
へいさぶろうもうすさま、いっこうぞんじもうさず、おやじ

病  氣二而志者゛らく罷  居 候   と申  候ハヽ、
びょうきにてしば らくまかりおりそうろうともうしそうらわば

小殿 申  様 、流 連之事 慥  二承  知致  候、
こどのもうすさま、ながれのことたしかにしょうちいたしそうろう

鳥 居不承知  ならば、半 分 伐 て
とりいふしょうちならば、はんぶんきって

村 方 江施  し二遣  し、我 間違  て我
むらかたへほどこしにつかわし、われまちがえてわれ

志ん志やう丸 で遣   首 二而も差 出しても
しんしょうがんでつかわしくびにてもさしだしても

くるしから須と申  事 、度々  是 ヲ申  候   とキ無
くるしからずともうすこと、たびたびこれをもうしそうろうときなし


(大意)
兵三郎は「まったくわかりません。親父は
病気でしばらく臥せっておりました」と答えたところ
小殿が言うには「今までの経緯はたしかに承知してます。
鳥居が同意しないのならば半分伐って
村へ施しとし、(以下???)」


(補足)
「我間違て〜申候とキ無」、よくわかりません。
「志ん志やう丸」(まる)or(がん)、薬の名前なのか落語家なのか?
「申候」の次の「刀」のような字も不明です。

 まだ若輩の兵三郎さん、他の年長の名主さんたちにやや問い詰められている様子。
恐縮して親父は病気でしたので・・・と伏目がちに額に汗うかべていそうな場面です。

小殿はややせっかちになり、それならば伐木は半分だけにして村へ施し、わたしが間違えていたら毒薬(志ん志やう丸)でこの首差し出してもかまわないとたびたび言っていたと言ってくれ。のような感じでしょうか。フィクションですけど。

 いずれにしても、この貼紙全体はくだけた調子であることは否めません。


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