2019年5月7日火曜日

変事出来二付心得覚記 その173




 P.88 6行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
先 般 名栗 邊  之者 共 多人 数
せんぱんなぐりあたりのものどもたにんずう

徒黨 致  、村 々 人 家打 毀  、当 郡
ととういたし、むらむらじんかうちこわし、とうぐん

中  江押 来 り候   砌  、最寄 之者 共
ちゅうへおしきたりそうろうみぎり、もよりのものども

相 加  り身元 相 應 之者 共 江罷  越 、
あいくわわりみもとそうおうのものどもへまかりこし、

米 金 施行  、且 質 品 等 無代 二而
こめかねせぎょう、かつしちしなとうむだいにて

請 戻  、并   借  用 證  文 差 戻 し
うけもどし、あわせてしゃくようしょうもんさしもどし


(大意)
先般、名栗村周辺の者どもが大勢で
不穏な集まりをもち、村々の人家を打ちこわし、当郡
へ押し出してきた。そのとき近くにいた者たちも
その集団に加わり、同じような身分の者たちを誘った。
米金の施しを要求し、かつ質品などを無料で
受戻し、同時に借用証文の返却を


(補足)
 関東御取締出役 杉本麟次郎 署名のやや長文のお廻状のはじまりです。
つまり、お役人が村役人たちへの指示・心得の文面となります。

「先般」、「般」=「舟」+「殳」。舟偏がわかりずらい。
「毀」、こちらはそのまま「殳」とわかります。
「当郡」、「当」のくずし字がとてもよくわかります。「郡」=「君」+「阝」ですが難しい。
「砌」(みぎり)、ちょこちょこでてきます。
「最寄」、「最」の「取」のくずし字をよりどころに読みます。
「身元」、「身」のくずし字が立派。
「施行」(せぎょう)としましたが、まちがっているかもしれません。
「品」、のくずし字は特徴的でこのまま覚えるしかありません。
「無代」、「無」がわかりずらい。


 このお廻状の日付は6月28日です。岩鼻お役所が現状までの取り調べでとはいえ、騒動の約2週間後に出していることに驚かされます。連絡手段が悪かったことを勘案しても素早い対応です。
また、騒動の概要を簡潔に把握していることも、ぼんくら役人ではなかったようです。


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