P.98 最初〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
只 今 王かり可年候 与し
ただいまわかりかねそうろうよし
申 候 二付 、手前 ゟ 写 ヲ取 よせ
もうしそうろうにつき、てまえよりうつしをとりよせ
柏 屋代 八 殿 二見せ候 処 、代 八 殿
かしわやだいはちどのにみせそうろうところ、だいはちどの
申 様 、此 書 付 二而ハけしからぬ事 、
もうすさま、このかきつけにてはけしからぬこと、
伐らせ帝跡 二而願 王連候
からせてあとにてねがわれそうろう
よふものなら者゛大 変 之事 、
ようものならば たいへんのこと、
四五日 過 帝柏 屋へ参 り候 処、
しごにちすぎてかしわやへまいりそうろうところ
柏 屋申 様 、柏 木組 ゟ 小物 迄
かしわやもうすさま、かしわぎぐみよりこものまで
右 之仲 間二成 不申 と申 而
みぎのなかまになりもうさずともうして
仲 間ぬけ二相 成 候 噺 し
なかまぬけにあいなりそうろうはなし
(大意)
すぐにはどこにあるかわかりません」
と答えました。そこでわたしが写しを取り寄せて
柏屋代八殿に見せましたところ、代八殿は
「この書付の内容から判断すると、(伐木は)してはいけないととれる。
伐木してしまってから、幕府から献納しろと命じられ
ようものならば、大変なことになるのではないか」と申しました。
4,5日後柏屋へ行ったところ、
柏屋は「柏木組やその小物たちまで
そのような伐木するしようとする者たちには加わわらないと言い
そのような仲間からは抜け出したい」という話でありました。
(補足)
手跡が柔らかく変体仮名や平仮名が目立ちます。書き手が変わったようです。
「年」のくずし字は何でこうなるとというくらい面白い。
「与し」、「与」のくずし字は助詞の「と」として頻繁に出てきます。くずし字は同じようです。
「写ヲ」、「写」の中は「与」ですが、「与」のくずし字に似ているような似てないような。
「けしからぬ」、この2行後に「よふものなら者゛」と流れるような平仮名が続きますが、この部分はなんかたどたどしい。
「跡」のくずし字は読めません。旁が「月」や「頁」に見えてしまいます。
「願」、頻繁に出てきますが、ここの「原」がわかりにくい。
「四五日過帝」、しばらくながめてから、あっそうかと読めた次第。初心者は辛い。
「処」、4行前では「處」でした。
「仲間」、「門」を冠のように書くくずし字もありますが、ここではちゃんと書いてます。
このあとしばらく、「〜申様」のやりとりが続きます。
当時の口語体の表現もありおもしろいです。
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