2019年5月10日金曜日

変事出来二付心得覚記 その176




 P.90 最初〜4行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
先歟、岩 鼻 表  江申  出候   共
??、いわはなおもてへもうしでそうろうとも

可被致   候   、尤   鰥 寡孤獨 又 者
いたされべくそうろう、もっともかんかこどくまたは

極々  難 渋  二而、其 日営 方 二差 支
ごくごくなんじゅうにて、そのひえいかたにさしつかえ

候   程 之者 者救 ひ之多免、
そうろうほどのものはすくいのため


(大意)
まずは、岩鼻役所へ申し出るように
致すことである。もっとも身寄りのない者たちについては
大変に困っており、その日の生活についても支障が
あるような者どもは救済するために


(補足)
「先歟」、意味は前後関係からわかりますが読みが?です。類例として「為先歟」(さきのためか、せんのためか)が見つかりました。(さきんじるや)ではおもすぎるし・・・。
「歟」のくずし字も難しい。このくずし字からよく「歟」とわかったものだとおもいます。

「鰥寡」(かんか)、日常用語ではまず出てこなさそうな単語です。
「孤獨」、「瓜(うり)につめあり爪(つめ)につめなし」この二つの漢字の違いは「、」のあるなしだけなので、子どもの頃はこんなふうにゴロよく教わりました。しかしここの「孤」では「、」がありませんね。おおらかなんです。「獨」の「犭」が現在の書き順通りになっているのがよくわかります。

「極」、旁がなんともすごい筆の運びでくずされてます。
もう一度同じ字を書いてもらうと異なる字になるのではないでしょうか。

「免」(め)、変体仮名。平仮名の「め」は「女」です。


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