2019年5月18日土曜日

変事出来二付心得覚記 その184




 P.96 最初〜7行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
雄 三 郎 様 御出  役 被遊   、為
ゆうざぶろうさまごしゅつやくあそばされ、

国恩  之  持 分 之内 二而空 地場所 へ
こくおんのためもちぶんのうちにてあきちばしょへ

杉 檜  五千 本 宛々両  人 二而一 万 本
すぎひのきごせんぼんずつりょうにんにていちまんぼん

植 立 献 納 可致   様 被 仰付   候   、
うえたてけんのういたすべくようおおせつけられそうろう、

其 砌  両  人 御免 願  少株二
そのみぎりりょうにんごめんねがい???

御座候ハヽ  、持 分 之内 空 地之場所 無 之
ござそうらわば、もちぶんのうちあきちのばしょこれなく

様 奉申上       候   、
さまもうしあげたてまつりそうろう、


(大意)
雄三郎様が村にやって来られたとき、
国のために持ち分の空き地の場所へ
杉檜五千本ずつ両人で一万本
植林し献納するよう命じられたました。
そのときに両人は免除してくれるよう願い、資産も少ないことで
御座いますし、持ち分のうちに空き地の場所もありません
と申し上げたました。」


(補足)
「遊」、このくずし字を読むのは困難。「辶」のついた字をくずしの
ほとんどは右側部分が平仮名「を」のような形になる。

行末に「為」がきて、改行して行頭から「国恩之」となってます。下から返って(こくおんのため)と読むのでしょうが、書くときに間違えないのかといつも思ってしまいます。

「空地」、が3回出てきます。「空」のくずし字は指でなぞってもわかりにくい。
「五千本」、「五」は特徴的で間違えやすいので逆に読むことができるが「千」のほうがわかりづらい。
「宛々」、(ずつ)としましたが、辞書にもありません。
「一万本」、「一」も「万」も「壱」でも「萬」でもありません。

「少株」、(すくないかぶ)なのですが、振り仮名をふるならなんとしましょう。意味はまぁなんとなくわかります。

「持」と「場」が何度か出てきます。くずし字でもちゃんと「扌」と「土」の区別がわかります。


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