2019年3月6日水曜日

変事出来二付心得覚記 その111


 P.47 最初〜8行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
少 し宜 敷 二付 、道 筋 も案 心
すこしよろしきにつき、みちすじもあんしん

不相成  候   故 、母 送 り参 ル、
あいならずそうろうゆえ、ははおくりまいる、

鹿山 村 江十  五日 何時参  趣   ヲ
かやまむらへじゅうごにちいつまいるおもむきを

相 尋  候  得者゛、くとくとと申  事 、
あいたずねそうらえば 、くとくとともうすこと、

其 段 組 合 福 松 ヲ以
そのだんくみあいふくまつをもって

当 名主 太次郎 殿 江相 届 ケ
とうなぬしたじろうどのへあいとどけ

申  候   、猶 亦 翌 朝 十  九日 、源 左衛門 ゟ も
もうしそうろう、なおまたよくあさじゅうくにち、げんざえもんよりも

此 段 届 ケ申  候
このだんとどけもうしそうろう


(大意)
少し良くなりましたが、(一人で)戻るには道中に
まだ不安がありましたので、母に送ってもらいました。
鹿山村へ15日のいつ頃来たのかを
尋ねたところ、ハキハキと答えておりました。
以上のような経緯を組合の福松が
当村の名主太次郎殿へ届け出
致しました。なおこの件については、翌朝19日、源左衛門からも
届け出致しております。


(補足)
留吉の事情の記録の続きです。

「少し宜敷」、「少」が難しい。「し」の最後と「宀」の点がくっついてしまったのか「冖」に見えます。
「道筋」、「道」はいつもながら特徴的。「筋」の「力」がなんでこんな形になるのだろう。
「故」、もっとくずすと「m」になります。
「候得者゛」、「候」は「、」になってます。

「不相成」「相尋」「相届ケ」と「相」が出てきてますが、特段意味はなく語調を整えたり強調したりする接頭語みたいなもの。

「くとくと」、辞書には「くと」があり、すばやく・すぐに・さっとの意とあります。それに習えば「くと」を重ねてますから、今風なら「ハキハキ」と解釈したわけです。しかし留吉は病み上がりで道中も母親に送ってきてもらわなければ体調でしたから、この解釈は間違ってそうです。
最初の直感では「あぁでもなくこぉでもなく」「だらだら」「ねちねち」などかったるそうな雰囲気ととらえたのですが、こちらのほうがどうも良さそうな気がします。

「猶亦」、頻出。「犭」が「木」のようです。
「翌朝」、簡単そうですが意外と悩まされてしまいます。



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