P.14 3〜7行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」
(読み)
扨 此 度 之儀、我 等村 方 からも皆 夫 々
さてこのたびのぎ、われらむらかたからもみなそれぞれ
罷 出満した帰宅 之者 尋 候 處、
まかりでましたきたくのものたずねそうろうところ
名栗 邊 ゟ 段 々 に可出 由 、若 又
なぐりあたりよりだんだんにでるべくよし、もしまた
出向 ざるものハ帰 り二毀 焼 拂
でむかざるものはかえりにこわしやきはらう
杯 と申 二付 、一 同 罷 出候 趣 申 候 、
などともうすにつき、いちどうまかりでそうろうおもむきもうしそうろう、
(大意)
さて、このたびの件、我らの村からもそれぞれに
加わって帰村した者に尋問したところ、
名栗近辺から徐々に参加しろとの指示が伝わってきたので、もし
参加しない者は帰りに家を壊し焼き払う
などと言われ、皆参加したようなことを言っていました。
(補足)
3行目から行下げをして、5,6頁この状態が続きます。
これまでの、村役人が一揆衆を追いかけた状況の話から、この数日間の出来事を振り返り、今後の対応などを模索します。
「扨」(さて)、現代の「さて」と同意です。漢字1字での訓読みは知らないとまず読めません。
いくつか例をあげておきます。
「殊に」(ことに)、迚も(とても)、「俄に」(にわかに)、「砌」(みぎり)、
「慥か」(たしか)、「忝し」(かたじけなし)、「弥」(いよいよ)、「縦令」(たとい)、
「拵え」(こしらえ)、「廉」(かど)、「偏に」(ひとえに)、「抔」(など)
「此度」、頻出です。
「我等」、既出ですが見やすいくずし字です。
「満」(ま)変体仮名だとおもいます。
「處」、「処」の旧字。
「邊」、「辺」の旧字ですが、丁寧に書いている。
「由」がどうも「里」に見えてしまいます。
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