2018年12月30日日曜日

変事出来二付心得覚記 その45




 P.14 3〜7行目まで。「飯能市立博物館所蔵平沼家文書」

(読み)
扨 此 度 之儀、我 等村 方 からも皆 夫 々
さてこのたびのぎ、われらむらかたからもみなそれぞれ

罷  出満した帰宅 之者 尋  候   處、
まかりでましたきたくのものたずねそうろうところ

名栗 邊  ゟ 段 々 に可出  由 、若 又
なぐりあたりよりだんだんにでるべくよし、もしまた

出向 ざるものハ帰 り二毀  焼 拂
でむかざるものはかえりにこわしやきはらう

杯 と申  二付 、一 同 罷  出候   趣   申  候   、
などともうすにつき、いちどうまかりでそうろうおもむきもうしそうろう、


(大意)
さて、このたびの件、我らの村からもそれぞれに
加わって帰村した者に尋問したところ、
名栗近辺から徐々に参加しろとの指示が伝わってきたので、もし
参加しない者は帰りに家を壊し焼き払う
などと言われ、皆参加したようなことを言っていました。


(補足)
 3行目から行下げをして、5,6頁この状態が続きます。
これまでの、村役人が一揆衆を追いかけた状況の話から、この数日間の出来事を振り返り、今後の対応などを模索します。

「扨」(さて)、現代の「さて」と同意です。漢字1字での訓読みは知らないとまず読めません。
いくつか例をあげておきます。
 「殊に」(ことに)、迚も(とても)、「俄に」(にわかに)、「砌」(みぎり)、
 「慥か」(たしか)、「忝し」(かたじけなし)、「弥」(いよいよ)、「縦令」(たとい)、
 「拵え」(こしらえ)、「廉」(かど)、「偏に」(ひとえに)、「抔」(など)
「此度」、頻出です。
「我等」、既出ですが見やすいくずし字です。

「満」(ま)変体仮名だとおもいます。
「處」、「処」の旧字。

「邊」、「辺」の旧字ですが、丁寧に書いている。
「由」がどうも「里」に見えてしまいます。




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