P.12 11行目〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」
(読み)
昼 七 ツ頃
ひるななつごろ
帰宅 以多し候 、中 指 周 吉 大 工申 様 、
きたくいたしそうろう、なかざすしゅうきちだいくもうすさま、
只 今 大 川 原金 借 毀 名栗 へ参 る趣 、
ただいまおおかわらかねかしこわしなぐりへまいるおもむき、
大 切 品 方 附 可被成 候 趣 申 来 り、其 外
たいせつしなかた(に)つきなさるべくそうろうおもむきもうしきたり、そのほか
三、四人 右 の趣 申 志らせ亦 々 申 様 、
さんよにんみぎのおもむきもうししらせまたまたもうすさま、
(大意)
昼七ツ頃(夕方4時頃)
(上名栗村へ)帰宅した。中指の大工周吉が言うには、
只今大川原の金貸しを打ち壊し、名栗へ向かっているそうで、
大切な品々は(避難)なさっておいたほうがよさそうだとのことです。
他にも3,4人の者たちが同様のことを知らせ、次々と言うには、
(補足)
「大切品方附可被成候」が今ひとつ、わかりません。
全然見当違いなことを訳してしまった気もします。お恥ずかしい。
慌ただしく一揆勢を追いかけ回し、疲れ果てて
平沼源左衛門は下名栗の自宅に帰宅しました。
そこでも、次から次へと新しい情報が伝えられます。
「以多し」(いたし)、変体仮名。
「申様」が3回でてきます。これだけ連続して現れると、すんなり読めます。
「名栗へ参る趣」、行末につめて書かれています。「参」が上書きしたようににじんでます。少し書き損じてごまかしたのか。
「大切」の「大」もなんか変です。
「可被成候」、4文字セット。
「趣」が何度も使われてます。人づてに聞いたことを書きとめているからでしょう。
「右」、これもどこか変。出だしの筆を誤り、上書きしているようです。
「亦〃」(またまた)、頻出です。
今回のように、わからないところがあると、高校の古文の授業を思い出します。
定期テストや小テストで、古文の訳を書く問題です。
ほぼ全文を理解して、またはわからない箇所が少なく前後の関係で推測しての訳のときなどは
Very Good!と赤鉛筆で朱書きされて返されてきました。
しかし、わかるところよりもわからないところのほうが多いときにはパズルのようなもので
ひたすら想像力を駆使します。
結果は fiction!! と、でかでかと朱書きされ返却されました。
試験問題とは全く別の物語になっているわけで、友人たちにはこちらのほう断然面白いと好評でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿