2018年12月1日土曜日

変事出来二付心得覚記 その16




 P.4 5〜9行目まで。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」

(読み)
万 治郎 承  知之趣   申  二付 、夫 ゟ 人 見江
まんじろうしょうちのおもむきもうすにつき、それよりひとみへ

移  候   処  二而、湯野沢 山 下 多吉 忰  米 吉
うつりそうろうところにて、ゆのさわやましたたきちせがれよねきち

出合 通 り抜 候   を差 留 、何 方 江罷  出候   と
であいとおりぬけそうろうをさしとめ、いずかたへまかりでそうろうと

相 尋  候  得者゛、下 筋 江用 向 有之  参 り
あいたずねそうらえば 、しもすじへようむきこれありまいり

候   由 申  候   二付
そうろうよしもうしそうろうにつき


(大意)
万次郎は承知したような様子であった。それから人見へ
移動しているところに、湯野沢の山下多吉の忰、米吉と
すれ違い通り抜けようとしたので立ち止まらせて、どこへ行くところなのかと
尋ねたところ、下筋(飯能方向)へ用事があるので行くところです
とのことを言っていたが、

(補足)
「万」、くずし字が「一」+「刀」のように見えます。「郎」は今までは「戸」+「巾」のようでしたが、ここではちょっと異なってます。

「移」、すでに何度か出てきてますが、「禾」でないので、迷います。
「野」、これも既出ですが、ここのくずし字は鮮明で「那」+「○」+「一」に見える。
「忰」、正字の「悴」。

「抜」、先程の「移」が「禾」ではないのに、ここでは「扌」が「禾」になっている。混乱しますがどうしようもありません。
行末の「候と」の「と」は変体仮名「登」でしょうか。

「相」、今までにもたくさん出てきてますが、特に意味はありません。「接頭語」。
「下筋」、「筋」の「竹」冠がわかりにくい。「助」は1行目の「滝之助」と全く同じ。
「有之」(これあり)頻出、「不相成」と同じように下から返って読む。

 一行一行がが本当にきれいなわかりやすい字で書かれています。くずし字ではありますが、
筆の太さや墨で文字がつぶれたりするところも全くありません。
こんな字を書いてみたいものです。

 人見と湯野沢の位置は下図を参照してください。



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