2018年12月5日水曜日

変事出来二付心得覚記 その20




 P.5 9〜最後まで。「飯能市立博物館所蔵」「平沼家文書」

(読み)
難知連方   申  候   二付 、夫 ゟ 不動渕へ
しれかたがたくもうしそうろうにつき、それより不動渕へ

近 附 候   ハヽ、灯燈   之明  ヲ見帝大 勢
ちかずきそうろうわば、ちょうちんのあかりをみておおぜい

一 同 に押 出し候   間  、一同  扣   遍しと申  候   ハヽ、
いちどうにおしだしそうろうあいだ、いちどうひかえるべしともうしそうろうわば、

道 せま二而大 勢 に押 落 左連
みちせまにておおぜいにおしおとされ


(大意)
(新しい様子を)知ることができずということであった。そのあと不動渕へ
近づいてゆくと、提灯の明かりを見て大勢が
われわれを押し出してきたので、一同の者、控えよと言ったのだが
狭い道のところに大勢が押し寄せてきたため、道脇へ落とされた。


(補足)
「難」、頻出で下から返って読むことが多い。「隹」のくずし方が独特です。
「連」(れ)変体仮名。

「候ハヽ」(そうろうわば)、次の行の末にもあります。3文字セットで覚えます。
「灯燈」(ちょうちん)としましたが、大きな辞書にのっていません。提灯は下に明かりがきますが、台の上にろうそくを挿した(燭台)ような簡単なものかもしれません。2文字とも「火」偏でわかりやすいはずなのですが、わたしはちょっと苦手です。「燈」の旁「登」のくずし字に注意。
「明」、「月」のくずし字も頻出。
「帝」(て)変体仮名。「巾」のような部品を持つ漢字のくずし字は、ここのようにクルクルっとなります。「帰」など。

「押」、「甲」を「日」をかいて「|」のようには書いていません。
「候間」、何度も出てきたのでもう読めます。

「道」、くずし字は、右側は「月」、左側は「遍」の辶部分になってます。いずれにしろ形で覚えます。
「大勢」、「勢」が2行前のものと異なっています。
「押落」、前行の「押」の「甲」ははっきりしませんでしたが、ここでは明らかに「日」の次に「十」を重ねています。


 米吉の尋問?の次にはとうとう大勢の農民との小競り合いが起こってしまいました。
一同、静かにしなさい!控えなさい!と大声で叫ぶ村役人たちにとっては、提灯の薄明かりに浮かぶ殺気立った農民たちの表情に怖気づいたに違いありません。


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