P72 東京国立博物館蔵
(読み)
ても三 十 余日 かゝ里申 候 とて笑 ヒ个連
てもさんじゅうよにちかかりもうしそうろうとてわらいけり
其 様 なる時 ハ酒 を呑 可゛宜 しとて酒 呑 で
そのようなるときはさけをのむが よろしとてさけのんで
妻 子能事 を毛忘(ワスレ)多り
さいしのことをも わすれ たり
廿 日又 曇 ル画を認 メかゝ里し尓兎角 癪
はつかまたくもるえをしたためかかりしにとかくしゃく
氣胸(ムネ)塞(フサキ)氣分 あしゝ夫(ソレユヱ)休 ム
け むね ふさぎ きぶんあしし それゆえ やすむ
廿 一 日 曇 ル今 日不快 主 人 ハ平 戸へ渡 ル跡(アト)
にじゅういちにちくもるきょうふかいしゅじんはひらどへわたる あと
ニて鯨 来ルよし此 日暖 氣
にてくじらくるよしこのひだんき
廿 二日 曇 ル昼(ヒル)比 鯨 来ルと云 新 四郎 と山 尓
にじゅうににちくもる ひる ころくじらくるというしんしろうとやまに
登 り見る尓鯨 あな多こな多出て潮 を吹ク
のぼりみるにくじらあなたこなたでてしおをふく
舟 六 七 艘 ニて追(ヲ)フ天 氣となる
ふねろくしちそうにて お うてんきとなる
(大意)
略
(補足)
「廿日」、天明8年12月20日。1789年1月15日。
「癪」、『物事が気にいらなくて,気持ちがむしゃくしゃする・こと(さま)。「運動会というのに―な雨だ」』。本文の漢字は「疒」+「責」。フォントなしでした。
「胸」には「胷」という異体字がありますが、本文のような「腸」に似た漢字はくずし字のもありませんでした。
江漢さん酒を飲んでも気が晴れることなく、また画をしたためても気分のることなく休んでしまいました。躁鬱気質の人であることは、ここまで日記を読んでくればわかることですけど、旅はまだまだ続きます。
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