P70 東京国立博物館蔵
(読み)
セミ鯨 十 間 余 ノ者 油 二百 樽。金 ニして四 百
せみくじらじっけんあまりのものあぶらにひゃくたるかねにしてよんひゃく
両 なり鯨 尓春多る所 なし骨 煎 し多るから
りょうなりくじらにすたるところなしほねせんじたるから
毛砂糖(サトウ)の中 ニ入 ルと云 筋 ハ唐 弓 絃(ツル)ニなるナリ
も さとう のなかにいれるというすじはからゆみ つる になるなり
口 中 尓あるヱラ之(コレ)ハ鯨 のヒレと云ツて色 \/細 工
こうちゅうにあるえら これ はくじらのひれといっていろいろさいく
物 尓なる只 春多る物 ハ耳骨 能ミコレハ大 キサ
ものになるただすたるものはじこつのみこれはおおきさ
六 七 寸 シヤコ貝 能如 キも能也 予(ワレ)二 ツ三ツひ
ろくしちすんしゃこがいのごときものなり われ ふたつみつひ
ろゐて持チ帰 りぬ此 日も鯨 来 ル事 二度なり
ろいてもちかえりぬこのひもくじらきたることにどなり
各 \/不得大 魚 と雖 大 海 ニて小魚 能如 し
おのおのえずたいりょうといえどもたいかいにてこざかなのごとし
十 度ニ一 度も得る事 可多し晩 景 舟 ニて本 宅
じゅうどにいちどもうることがたしばんけいふねにてほんたく
へかえ里ぬ
へかえりぬ
(大意)
略
(補足)
「絃(ツル)」、弦。
「骨煎し」、西遊旅譚四に骨を砕いている図があります。説明に「油を煎春゛」とあります。こちらの文中では「砂糖の中に入ル」とありますが、砂糖は貴重品だったので骨粉でかさ増ししたのでしょうか、まさか・・・
「ヱラ之(コレ)ハ鯨のヒレ」、西遊旅譚4の図、大きな櫛のようなものを担いで運んでいます。江戸時代にからくり人形というものがありましたが、その動力にはゼンマイがあって、鯨のヒゲが使われていました。
耳骨を拾って、お土産記念品にする江漢さんはやはり、もの好きというか、珍品好きというか好奇心旺盛であります。
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