P71 東京国立博物館蔵
(読み)
十 八 日 昨 夜ヨリ雨 風 アラレ終 日 止マ春゛鯨 能腹(ハラワタ)を
じゅうはちにちさくやよりあめかぜあられしゅうじつやまず くじらの ハラアワタ を
色 \/尓して喰(シヨク)春。古れハ他所尓無 物 なり
いろいろにして しょく す これはよそになきものなり
十 九日 風 少 々 ヤム此 邊 能風 土兎角 此ノ
じゅうくにちかぜしょうしょうやむこのへんのふうどとかくこの
節 時雨 七 八 日 續 キ其 うちハ手 水鉢(ハチ)能内
せつしぐれしちはちにちつづきそのうちはちょうず ばち のうち
ひ志ヤく氷 付 雪 霰 降 といえど不積 只タ
ひしゃくこおりつくゆきあられふるといえどつもらずただ
地の白 くなる能ミ亦 天 氣となると誠 尓三
ちにしろくなるのみまたてんきとなるとまことにさん
月 能如 く綿 入 小袖 一 ツニて宜 し誠 尓長(ノ)
がつのごとくわたいれこそでひとつにてよろしまことに の
閑(トカ)なり此 嶋 能淋 しき処 尓数 日 畄 マ里て
どか なりこのしまのさみしきところにすうじつとどまりて
風(フ)与(ト)故 郷 の事 を思 ヒ出し頻 り尓帰 り度シ
ふ と ふるさとのことをおもいだししきりにかえりたし
主 人 又 之助 へ話 シ个連ハ只 今 からお立 尓
しゅじんまたのすけへはなしければただいまからおたちに
(大意)
略
(補足)
「十八日」、天明8年12月18日。1789年1月13日。
「手水鉢」、原文では「鉢」はどうみても「体」。
江漢さん、やはりホームシックにかかってしまいました。こんなにクジラ漁やとった鯨に登ったり、鯨の解体工房を見学したり、たくさん興味深いことがあるのに、故郷や家族、友人を思う心は頭の中ではそれらとは異なる部分にあるようです。
鯨漁でみたシャチや鳥の画が「西遊旅譚四」にあります。
ライ鳥はちょっと乱暴に描かれているよう気がしますが、やはり絵師、うまいです。
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