2025年9月28日日曜日

江漢西遊日記五 その64

P71 東京国立博物館蔵

(読み)

十  八 日 昨 夜ヨリ雨 風 アラレ終  日 止マ春゛鯨  能腹(ハラワタ)を

じゅうはちにちさくやよりあめかぜあられしゅうじつやまず くじらの  ハラアワタ  を


色 \/尓して喰(シヨク)春。古れハ他所尓無 物 なり

いろいろにして  しょく す これはよそになきものなり


十  九日 風 少  々  ヤム此 邊 能風 土兎角 此ノ

じゅうくにちかぜしょうしょうやむこのへんのふうどとかくこの


節 時雨 七 八 日 續 キ其 うちハ手  水鉢(ハチ)能内

せつしぐれしちはちにちつづきそのうちはちょうず  ばち のうち


ひ志ヤく氷  付 雪 霰  降 といえど不積  只タ

ひしゃくこおりつくゆきあられふるといえどつもらずただ


地の白 くなる能ミ亦 天 氣となると誠  尓三

ちにしろくなるのみまたてんきとなるとまことにさん


月 能如 く綿 入 小袖 一 ツニて宜 し誠  尓長(ノ)

がつのごとくわたいれこそでひとつにてよろしまことに  の


閑(トカ)なり此 嶋 能淋 しき処  尓数 日 畄 マ里て

  どか なりこのしまのさみしきところにすうじつとどまりて


風(フ)与(ト)故 郷 の事 を思 ヒ出し頻 り尓帰 り度シ

  ふ   と ふるさとのことをおもいだししきりにかえりたし


主 人 又 之助 へ話 シ个連ハ只 今 からお立 尓

しゅじんまたのすけへはなしければただいまからおたちに

(大意)

(補足)

「十八日」、天明8年12月18日。1789年1月13日。

「手水鉢」、原文では「鉢」はどうみても「体」。

 江漢さん、やはりホームシックにかかってしまいました。こんなにクジラ漁やとった鯨に登ったり、鯨の解体工房を見学したり、たくさん興味深いことがあるのに、故郷や家族、友人を思う心は頭の中ではそれらとは異なる部分にあるようです。

 鯨漁でみたシャチや鳥の画が「西遊旅譚四」にあります。 

 ライ鳥はちょっと乱暴に描かれているよう気がしますが、やはり絵師、うまいです。

 

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