2024年8月24日土曜日

江戸生艶氣樺焼 その3

P2P3 東京都立中央図書館

P2

(読み)

ゑん二郎 ハきん

えんじろうはきん


志゛よのどうらく

じ ょのどうらく


むすこき多り

むすこきたり


きのすけ

きのすけ


王るゐ志あん

わるいしあん


といふ多い

というたい


こいしや

こいしゃ


奈ぞと

なぞと


こゝろ

こころ


やす

やす



していよ\/う王き奈

していよいようわきな


ことをくふうする

ことをくふうする


とんでも奈く

とんでもなく


うき奈の

うきなの


多つ志うち可

たつしうちが


ありそふ奈

ありそうな


もの多

ものだ


まづめ里やすといふや川可゛

まずめりやすというやつが


うハき尓するや川さこいつを

うわきにするやつさこいつを


志らねバ奈りやせん

しらねばなりやせん


於よそひとの志つ多

およそひとのしった


口 ぢ可ひめ里やすのぶん

くちぢかいめりやすのぶん


小ぐちのところを申  やしやう

こぐちのところをもうしやしょう

(大意)

 艶二郎は近所の道楽息子北里喜之介、わるい志庵というたいこ医者などと親しく付き合い、いよいよ浮き浮きする楽しいことを工夫した。

艶二郎「とんでもなく浮き名をながして世間の注目をあつめることができそうなものだ」

喜之介「まず、めりやすというやつが、浮気するやつさ。こいつを知らねばなりやせん。ほとんどの人が知っている、口ずさむめりやすをかいつまんで少し申しやしょう。

(補足)

「き多り」、北里は吉原の別称。

「め里やす」、『めりやす〔場面により演奏が伸縮できることから〕

① 下座音楽の一,かつ,長唄の曲種の一。独吟の唄と三味線一挺(ちよう)のみのしんみりとした曲。芝居では,役者が台詞(せりふ)なしで静かな演技を続ける心理描写的な場面(思い入れなど)で,効果音楽として陰で演奏される。「黒髪」「五大力」など』。もとはスペイン語のmedias(『〔靴下の意〕一本の糸で,一つの輪奈(わな)に次の輪奈をからめながら,平面または筒状に編んだ布地。表と裏の編目が異なる。伸縮性に富む。〔「莫大小」「目利安」とも書く』)といわれる。とありました。

 艶二郎はいまでいう億万長者、部屋のこしらえや調度品はどれも高価そう。床の間風のところには「源氏伊勢物語」とあり、これは特別誂えの本箱でしょうか。

 

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