P1 東京都立中央図書館
(読み)
ともしやうとく
どもしょうとく
うハき奈ことを
うわきなことを
このミ志ん奈い
このみしんない
ぶしの正 本ん
ぶしのしょうほん
奈ぞをミてたま
なぞをみてたま
きや伊太八 うき
きやいたはちうき
よ猪の介 可゛身のうへを
よいのすけが みのうえを
うらやましく於もひ
うらやましくおもい
一 生 の於もひで尓この
いっしょうのおもいでにこの
やう奈う王き奈うき奈
ようなうわきなうきな
の多つ志うちもあらば
のたtしうちもあらば
ゆく\/ハいのちもすてやうと者゛可らしき事 を
ゆくゆくはいのちもすてようとば からしきことを
心 可けいのち可゛けの於もひ付 をしける
こころがけいのちが けのおもいつきをしける
こういふミのうへ二
こういうみのうえに
奈つ多らさぞ
なったらさぞ
於もしろ可らう
おもしろかろう
よい月 日の
よいつきひの
下 で生まれ多
もとでうまれた
てやひ多゛
てやいだ
(大意)
(という身の上であったが、)生まれつき浮気なことを好み、新内節の正本などをみて、玉木屋伊太八・うきよ猪之介など(色男の主人公)の身の上をうらやましくおもい、一生の思い出にこのような浮気な浮名の主人公になれたなら、ゆくゆくは命も捨てようと、馬鹿らしいことを心がけ、命がけの思いつきをしようときめた。
艶二郎「このような身の上になったら、さぞおもしろかろう。しあわせな運命に生まれた連中だ」
(補足)
「介」のくずし字は「人」に縦棒2本が重なります。
「玉木屋伊太八」、新内「帰咲名残の命毛」の、遊女尾上と相愛の主人公。とありました。
「うきよ猪之介」、新内「仇比恋浮橋」の、遊女若草の相手の男。当時評判の曲で、同名の黄表紙も安永八(1779)年に出板された。とありました。
火鉢は一見して高価そう。行灯の奥の蓮の花に飾られているのは掛け軸なのか、神鏡のようなものなのか、さて?
艶二郎腹ばいになり新内の正本を読み色ごとの妄想にふけ、煙草をふかす。鼻が団子っ鼻であぐらをかいている。この鼻はのちに艶二郎鼻・京伝鼻と言われた。
天明4年〈1784年〉刊「志やれ染手拭合(しゃれぞめたなぐいあわせ)」山東京伝(北尾政演)画に登場し、
翌年この黄表紙でさらに有名となる。
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