2024年8月23日金曜日

江戸生艶氣樺焼 その2

P1 東京都立中央図書館

(読み)

ともしやうとく

どもしょうとく


うハき奈ことを

うわきなことを


このミ志ん奈い

このみしんない


ぶしの正  本ん

ぶしのしょうほん


奈ぞをミてたま

なぞをみてたま


きや伊太八 うき

きやいたはちうき


よ猪の介 可゛身のうへを

よいのすけが みのうえを


うらやましく於もひ

うらやましくおもい


一 生  の於もひで尓この

いっしょうのおもいでにこの


やう奈う王き奈うき奈

ようなうわきなうきな


の多つ志うちもあらば

のたtしうちもあらば


ゆく\/ハいのちもすてやうと者゛可らしき事 を

ゆくゆくはいのちもすてようとば からしきことを


心  可けいのち可゛けの於もひ付 をしける

こころがけいのちが けのおもいつきをしける


こういふミのうへ二

こういうみのうえに


奈つ多らさぞ

なったらさぞ


於もしろ可らう

おもしろかろう


よい月 日の

よいつきひの


下 で生まれ多

もとでうまれた


てやひ多゛

てやいだ

(大意)

(という身の上であったが、)生まれつき浮気なことを好み、新内節の正本などをみて、玉木屋伊太八・うきよ猪之介など(色男の主人公)の身の上をうらやましくおもい、一生の思い出にこのような浮気な浮名の主人公になれたなら、ゆくゆくは命も捨てようと、馬鹿らしいことを心がけ、命がけの思いつきをしようときめた。

艶二郎「このような身の上になったら、さぞおもしろかろう。しあわせな運命に生まれた連中だ」

(補足)

「介」のくずし字は「人」に縦棒2本が重なります。

「玉木屋伊太八」、新内「帰咲名残の命毛」の、遊女尾上と相愛の主人公。とありました。

「うきよ猪之介」、新内「仇比恋浮橋」の、遊女若草の相手の男。当時評判の曲で、同名の黄表紙も安永八(1779)年に出板された。とありました。

 火鉢は一見して高価そう。行灯の奥の蓮の花に飾られているのは掛け軸なのか、神鏡のようなものなのか、さて?

 艶二郎腹ばいになり新内の正本を読み色ごとの妄想にふけ、煙草をふかす。鼻が団子っ鼻であぐらをかいている。この鼻はのちに艶二郎鼻・京伝鼻と言われた。

 天明4年〈1784年〉刊「志やれ染手拭合(しゃれぞめたなぐいあわせ)」山東京伝(北尾政演)画に登場し、

翌年この黄表紙でさらに有名となる。

 

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