2024年8月7日水曜日

金々先生栄華夢 その16

P9 国立国会図書館蔵

(読み)

きん\/せんせひ楚ゝ奈可されふと

きんきんせんせいそそなかされふと


よしハらへゆき个るかそれより

よしわらへゆきけるがそれより


かけのといふ女 郎 二なじみおや

かけのというじょろうになじみおや


乃いけんも奈んのそ乃

のいけんもなんのその


一 春んさきハやみの

いっすんさきはやみの


よもかの手代 源 四郎

よもかのてだいげんしろう


まん八 をつれて

まんぱちをつれて


飛多とあゆみをハ

ひたとあゆみをは


こび个り

こびけり


きん\/せんせい

きんきんせんせい


の出 多ち八 丈  八 多ん

のいでたちはちじょうはったん


乃羽おりしまちり

のはおりしまちり


免んのこそでやく

めんのこそでやく


しや染 の志多ぎ

しゃぞめのしたぎ


可めやづきん尓目者゛

かめやずきんにめば


可りい多し人 目を

かりいだしひとめを


春こし志のび

すこししのび


个り

けり


多゛ん奈のお春可多

だ んなのおすがた


どうもいへませぬ

どうもいえませぬ


すごい

すごい


飛やう\/

ひゅうひゅう

(大意)

 金々先生おだてられてふと吉原へ行ったのだが、それからというもの

かけのという女郎となじみになり、親の意見も何のその、一寸先は闇の世も、かの手代源四郎・万八をつれて、ひたすら足をはこんだ。

 金々先生のいでたちは八条八反の羽織・縞縮緬の小袖・役者染めの下着、かめや頭巾で目だけをのぞかせて人目を少し気にかけた(が実は得意満面)。

「旦那のお姿は、もうなんともいえませぬ、すごい、ひゅぅひゅぅ」

(補足)

「かけの」、「かける」には「⑦ だます。ひっかける。「今来むと言ひしばかりに―・けられて」〈古今和歌六帖•5〉」という意味もあって、遊女が客をだますのを「かける」といったところからきた名前、とありました。

 新吉原(浅草の北側)を奥にのぞみ、四人が歩いているのは吉原土手の日本堤。妓楼の屋根に二つ三つ見えるのぼりのようなものは、防火用の屋上の天水桶でした。吉原の絵図などにも描かれています。

 この四人このまま現代の浅草あたりにつれてきて、歩かせてもなんの違和感もありません。

かっこいい。 

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