2024年8月22日木曜日

江戸生艶氣樺焼 その1

表紙 東京都立中央図書館

P1

(読み)

表紙

山東京傅作


江戸生  艶 気 樺  焼

ゑとむまれうハきの可者゛やき

えどうまれうわきのかば やき


通  油  町   徒多や

とおりあぶらちょう つたや

P1

こゝ尓

ここに


百  万 両

ひゃくまんりょう


ふ个゛んと

ぶげ んと


よ者゛

よば


れ多る

れたる


あ多゛

あだ


きや

きや



ひとり

ひとり


むすこ

むすこ


をゑん

をえん


二郎 とて

じろうとて


としも

としも


つゞや者多

つづやはた


ちといふころ

ちというころ


奈りし可ひん

なりしがひん


のやまひハく尓

のやまいはくに


奈らす保可の

ならずほかの


やまいの奈可れ

やまいのなかれ


可しといふミ奈れ

かしというみなれ

(大意)

表紙略

P1

 ここに百万長者とよばれている仇気屋のひとり息子艶二郎は、歳は十九か二十というところであるが、「貧の病は苦にならずほかの病のなかれかし」という身の上であったが、

(補足)

「あ多゛きや」、気の変わりやすい、浮気な、の意味の屋号、とありました。

「つゞ」、『つづ ③〔「つづ(十)やはたち(二十)」の語形で用いられたことから誤解して〕一九歳。「―や廿歳(はたち)の娘では無し」〈鉄仮面•涙香〉』

「ひんのやまひ〜」、河東節の一節「灸すゑ」という曲の中の名文句とありました。「貧乏の苦しさほどつらい病はない」ということわざには縁がなく、ほかの病気の心配をしていればよいという境遇。

「保可の」、「ほ」はたいていが変体仮名「本」ですが、たまに「保」もでてきます。

 奥の障子の格子の桟が、行灯の格子は丁寧に立体的に一本一本描いてあるのですが、やけに平面的でべったりです、手を抜いたわけではないでしょうけど。

 

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