P11P12 国立国会図書館蔵
P11
(読み)
あゝふ川多る雪 可奈
ああふったるゆきかな
世尓奈き人 ハさ楚゛
よになきひとはさぞ
さむ
さむ
可らん
からん
雪 ハが毛ふ二
ゆきはがもうに
尓てとんでさんらんし
にてとんでさんらんし
人 王可みこをきて川 へ
ひとはかみこをきてかわへ
者まらうとアゝまゝよ
はまろうとああままよ
(大意)
あぁ降りにふった雪だなぁ。
貧しいものたちはさぞ
寒いことだろうな。
雪は鵞鳥の羽ににて
(白く)あたりいちめんに飛んでいる。
(貧しい)人がどうなろうと
あぁ知ったこっちゃねえ。
(補足)
金々先生のこの部分のセリフは謡曲「鉢木(はちのき)」のもじりとありました。
『ああ 降ったる雪かな 如何に世にある人の面白う候ふらん
それ雪は鵞毛に似て飛んで散乱し 人は鶴氅(かくしょう)を着て立って徘徊すと言へり』
「さんらん」、現代では光が散乱するのように使いますけど、雪や羽がフワフワ舞う様子にも使っていたのですね。
「可みこ」、『かみこ【紙子・紙衣】
紙で仕立てた衣服。厚手の和紙に柿渋(かきしぶ)を塗って乾かし,もみ柔らげたもので仕立てる。もとは僧が用いたが,のちに一般の人々も防寒用に着た。かみぎぬ。季冬「飯粒で―の破れふたぎけり」蕪村』
「可みこをきて川へ者まらう」、『紙子着て川へはま・る
無謀なことをして,自ら破滅を招くことのたとえ。紙子着て川へはいる』
供の小座頭に着替えを持たせ、雪中「ミやも登」へ行く金々先生は深草の少将きどりとありました。この頁、この深草の少将や謡曲「鉢木(はちのき)」のあらすじを知らないと、面白みが理解できません。
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