2024年8月12日月曜日

金々先生栄華夢 その21

P11P12 国立国会図書館蔵

P12

(読み)

この大 雪 尓お可ご尓も免しま

このおおゆきにおこがにもめしま


せず可ゞミのゝ御いで多ちハ

せずかがみののおいでたちは


ソレヨ多川ミの里 尓

それよたつみのさとに


ちよきハあれど君 を

ちょきはあれどきみを


おもへバ可ち者多゛しと

おもえばかつはだ しと


いふ御志由可う

いうごしゅこう


おそろ\/

おそろおそろ

(大意)

 この大雪に御駕籠も使わずに、加賀蓑のお姿は、

これはまさか、「辰巳の里に猪牙(舟)はあれど君をおもえば徒歩跣足」という

ご趣向でしょうか、恐れ入り感服でございます。

(補足)

 ソレヨ以下のセリフは謡曲「通小町」『山城の木幡の里に馬はあれども君を思えば徒歩跣足(かちはだし)さてその姿は笠に蓑身の憂き世とや竹の杖(山城の木幡の里には馬もいたけれど、あなたをおもえば裸足で蓑笠つけて、竹の杖をついて通った)』のもじりとありました。

「ちよき」、猪牙船のこと。『【猪牙舟】

① 和船の一。江戸時代,市中の水路で大量に使われた一人あるいは二人漕(こ)ぎの屋根のない船で,舳(みよし)が長く船足が速い。吉原の遊び客の足として盛んに用いられた。関西ではちょろと呼ぶ。ちょけぶね。ちょき。山谷船』

 万八の顔がオネエっぽくてきれいだし、身のこなしもどこかしなをつくってなまめかしい。ちょっと声を裏返したセリフの声が聞こえてきそう。

 竹垣の柵に積もった雪の質感がうまいものです。隙間をとおしてちゃんと奥の(悪)女(おまず)も描かれています。

縦書きの看板「ミやも登」は変体仮名、横書きというか一行一文字の看板「宮本」は楷書。

 

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