2024年8月18日日曜日

金々先生栄華夢 その27

P15P16 国立国会図書館

P16

(読み)

〽きのふまでハきん\/せんせいと

 きのうまではきんきんせんせいと


毛て者やされちよきヤよつ手二

もてはやされちょきやよつてに


のりし身可いまハ者川ち二ひより

のりしみがいまはぱっちににより


げ多か王れバか王る世の中 志゛や奈引

げたかわればかわるよのなかじ ゃな


アゝいま\/しい

あぁいまいましい


可ごの

かごの


し由こひかけて

しゅこいかけて


者ヤめましやうぞ

はやめましょうぞ

P15

ぎやうにお江戸ハ

ぎょうにおえどは


尓きやか多゛

にぎやかだ

(大意)

先生「きのうまでは金々先生ともてはやされ、猪牙(船)や四手(駕籠)にのっていた身であったのに、今はパッチ(姿)にひより下駄、〽かわればかわる世の中じゃなぁ〜。あぁ、いまいましい」

駕籠脇の付き人「駕籠の衆、声かけて急ぎましょうぞ」

右端の田舎侍「ずいぶんと江戸はにぎやかだ」

(補足)

「ひよりげ多」、『【《日和》 下駄】晴天の日にはくのに向いた,歯の低い差し歯の下駄』

「引」は何度かでてきていて、唄をのばす記号。

「こひかけて」、四手の駕籠かきは「エイホエイホ」と威勢の良い掛け声をかける。しかし「掛け声のない四ツ手にはぜげんつき」というのもあってなるほどね。

「ぎやうに」、たいそう、ひどくの意で田舎言葉。 右端の二本差(柄の部分は白い袋状のものでおおっている)は田舎侍のようで、品川の客は薩摩藩をはじめ、付近の藩邸は田舎侍の勤番が多かったとありました。頭に布をかぶり、身なりがどことなくいまひとつ。

 江戸から品川に向かうときは左側(東側)は海で、駕籠の上には帆掛け船がひしめいています。

 ところで、これは広重の江戸名所之内「新よし原日本堤ゑ毛ん坂」で、

 四手駕籠が3台、日本堤の上から、えもん坂に入ろうとしているところ。

注目してほしいのは、左端の何かをかついで反対の方向に歩くひとりの男で、拡大してみると、

 どうやら、吉原へ送った客をおろして、駕籠をたたんで?戻るところのようです。こんなふうに駕籠ってたためるもんなんでしょうか?

 それともたたんだのではなく、もともとこのくらいの幅しかなかったのかも。

 

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