P4 国立国会図書館蔵
(読み)
をたゞしいぎを津くろい申 けるハ楚も\/
をただしいぎをつくろいもうしけるはそもそも
王れ\/ハ神 田の八 丁 本゛り尓とし久 しく春まい
われわれはかんだのはっちょうぼ りにとしひさしくすまい
い多すい川゛ミヤ清 三と申 毛のゝ家来 なり
いたすいづ みやせいざともうすもののけらいなり
志可るに主 人 清 三多ん\/老 春いい多し候 所
しかるにしゅじんせいざだんだんろうすいいたしそうろうところ
いま多一 子なしことに古ん袮んてい者つ
いまだいっしなしことにこんねんていはつ
い多し名をぶん春゛ひとあら多免候
いたしなをぶんず いとあらためそうろう
よ川てあと志きゆづる遍゛き人 も
よってあとしきゆずるべ きひとも
可゛奈と多川゛袮候 所 二さい王い
が なとたず ねそうろうところにさいわい
古の多び君 志由川世をのぞみ
このたびきみしゅっせをのぞみ
多まひ古れまでき多り給 ふよし
たまいこれまできたりたもうよし
主 人 としご路志んじんい多す所
しゅじんとしごろしんじんいたすところ
の万 八 まん大 本さ川のつげ尓ま可セ
のまんはちまんだいぼさつのつげにまかせ
古れまで王れ\/来 り多り袮可
これまでわれわれきたりたりねが
王くハ主 人 文 春゛いの望 尓
わくはしゅじんぶんず いののぞみに
ま可セ多まへとむり(に)可の
まかせたまえとむり に かの
(大意)
(を着て威儀をただし申すには)「そもそも
わたしたちは神田八丁堀に長年住んでおります
和泉や清三と申すものの家来であります。
その主人清三のことでどざいますが、だんだん老衰いたしておりますれば
いまだに子がなく、ことに今年剃髪
いたし、名を文ずいと改めました。
したがいまして、跡目を譲るべき人が
いないものかと探していましたところに、さいわい
このたび貴方様が出世をのぞまれ
ここまでやってらっしゃったよし、
主人がここ数年信心している
万八万大菩薩のお告げにまかせて
ここまでわれわれはやってまいりました。
願わくは主人文ずいの望みに
従ってくだされませと無理にあの
(補足)
「も可゛奈」、『もがな(終助)〔終助詞「もが」に終助詞「な」の付いたものから。上代の「もがも」に代わって,中古以降用いられるようになった〕
文末にあって,体言,形容詞や打ち消しの助動詞「ず」および断定の助動詞「なり」の連用形,一部の助詞などに付く。強く望み願う意を表す』
「万八まん大本さ川」、『まんぱち 【万八】
① 〔万のうち真実は八つだけの意〕うそ。ほら。また,うそつき。千三つ。「世に―といふ事は,此の男より始まりける」〈浄瑠璃・神霊矢口渡〉』。嘘っぱちの大菩薩。
「主人としご路志んじんい多す所」、変体仮名「路」(ろ)はよく使われます。「ん」と「じ」が重なってます。「い」の一画目がかすれてほとんどみえません。
「文春゛いの望尓」、「望」のくずし字、平仮名「ら」の途中から「里」のくずし字になるようなかたち。
「むり(に)可の」、「に」は原文にはありません。
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