P27P28 国文学研究資料館蔵
(読み)
ホンニ可年もちの女 本゛う尓ハ
ほんにかねもちのにょうぼ うには
何 可゛奈る可
なにが なるか
於きどころの奈い
おきごころのない
可年ハさ可さ尓して
かねはさかさにして
ふるつても
ふるっても
於きどころ
おきどころ
ハ
は
ご
ご
さらぬ
ざらぬ
元 利
がんり
そろへて
そろえて
御やどへ
おやどへ
遍んさい二
へんさいに
まいつ多ら
まいったら
P28
ちやんと
ちゃんと
るすを
るすを
つ可王つ
つかわっ
志やる可ら
しゃるから
これまで
これまで
於つ可けて
おっかけて
まいつ多
まいった
(大意)
(萬々妻)「ほんとうに、金持ちの女房には、なるものではないさ」
(萬々)「置きどころのない金は、逆さにして振るっても、置きどころはござらぬ」
(借りた人一)「元利そろえてお宿へ返済に参ったら、もう留守にしてらっしゃったから、ここまで追っかけてまいった」
(補足)
「さ可さ尓して」、「さ」は間違えて変体仮名「多」になってしまっています。
「ちやんと」、ここの意味は『⑤ すばやく。さっと。ちゃっと。「凭(もた)れ給へば―退き」〈浄瑠璃・傾城無間鐘〉』でしょうか。
「於つ可けて」、ここの「於」は拡大してみても「や」にしかみえません。女房のセリフの出だしの「於」と比べてみても。
萬々のセリフ、もう少しよい言い回しがあると、喉元まででかかっているのですけど、うーん🤔金の置きどころがなくあふれるほどあるのだけど、すっからかんにしても、まだまだ金があふれてきてしまってどうしようもない、ということなんですが。
返済を迫る金持ちの身なりは羽織袴の正装です。
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