2024年7月20日土曜日

莫切自根金生木 その45

P27P28 国文学研究資料館蔵

(読み)

ホンニ可年もちの女  本゛う尓ハ

ほんにかねもちのにょうぼ うには


何 可゛奈る可

なにが なるか


於きどころの奈い

おきごころのない


可年ハさ可さ尓して

かねはさかさにして


ふるつても

ふるっても


於きどころ

おきどころ




さらぬ

ざらぬ


元 利

がんり


そろへて

そろえて


御やどへ

おやどへ


遍んさい二

へんさいに


まいつ多ら

まいったら


P28

ちやんと

ちゃんと


るすを

るすを


つ可王つ

つかわっ


志やる可ら

しゃるから


これまで

これまで


於つ可けて

おっかけて


まいつ多

まいった

(大意)

(萬々妻)「ほんとうに、金持ちの女房には、なるものではないさ」

(萬々)「置きどころのない金は、逆さにして振るっても、置きどころはござらぬ」

(借りた人一)「元利そろえてお宿へ返済に参ったら、もう留守にしてらっしゃったから、ここまで追っかけてまいった」

(補足)

「さ可さ尓して」、「さ」は間違えて変体仮名「多」になってしまっています。

「ちやんと」、ここの意味は『⑤ すばやく。さっと。ちゃっと。「凭(もた)れ給へば―退き」〈浄瑠璃・傾城無間鐘〉』でしょうか。

「於つ可けて」、ここの「於」は拡大してみても「や」にしかみえません。女房のセリフの出だしの「於」と比べてみても。

 萬々のセリフ、もう少しよい言い回しがあると、喉元まででかかっているのですけど、うーん🤔金の置きどころがなくあふれるほどあるのだけど、すっからかんにしても、まだまだ金があふれてきてしまってどうしようもない、ということなんですが。

 返済を迫る金持ちの身なりは羽織袴の正装です。

 

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