2024年7月1日月曜日

莫切自根金生木 その26

P15 国文学研究資料館蔵

(読み)

あんのごとく

あんのごとく


ぬす人

ぬすびと


大 ぜい

おおぜい


者いりハ

はいりは


者いりし可゛

はいりしが


あまりの

あまりの


大 可゛年ゆへ

おおが ねゆへ


もち

もち


多゛す

だ す


くふうや

くふうや


尓ごしらへ二

にごしらへに


てまどり

てまどり


よも

よも


本の

ほの


\゛/と

ぼ のと


あけ

あけ


けれバ

ければ


とることハ

とることは


於ゐて

おいて


よそ

よそ


尓て

にて


ぬすミし

ぬすみし


金 者゛こ

かねば こ


いるい

いるい


どうぐ

どうぐ


までもつて

までもって


で尓く

でにく


く奈りしや

くなりしや

(大意)

 案じていたとおりに、盗人が大勢入ることは入ったのだが、あまりの大金(おおがね)のため、持ち出す方法や荷ごしらえに手間取り、夜もほのぼのとあけてしまい、取ることはあきらめ、よそで盗んだ金箱・衣類・道具まで持って出にくくなってしまった。

(補足)

「よそ尓てぬすミし」、前頁P14の左下の「尓本ひを可き\/ぬすミ尓」の「ぬす」がかすれていてよくわかりませんでしたが、この頁の「ぬす」が同じようなかたちなので、P14のところは「ぬす」で間違いがなさそうです。

 帰宅した萬々の障子にうつる姿の影が印象的です。そしてそれをみてあわてる盗人。当時のおおくの絵師たちが錦絵・浮世絵でこの影の手法を使用しています。

 有名な葛飾応為「吉原格子先之図」です。

 光と影が見事です。

 

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