P25P26 国文学研究資料館蔵
(読み)
あり多けの
ありたけの
きん\゛/のこらず
きんぎん のこらず
春ていまハこゝろ二
すていまはこころに
可ゝるくも者れ多りと
かかるくもはれたりと
よろこぶ於り可ら春て多る
よろこぶおりからすてたる
きん\゛/ひと可多まり尓
きんぎん ひとかたまりに
奈りてくうち うへとびあ可゛れバ
なりてくうちゅうへとびあが れば
このせい二ひ可れてせ可い中 の
このせいにひかれてせかいじゅうの
きん\゛/いつ志よ二あつまり
きんぎん いっしょにあつまり
まん\/可゛
まんまんが
可年ぐらさしてとびくるハめもあてられぬ
かねぐらさしてとびくるはめもあてられぬ
志多゛い尓て可奈いのものどもを可年くらの
しだ いにてかないのものどもをかねくらの
や年二あげて
やねにあげて
可年多゛まをふせ可゛せる
かねだ まをふせが せる
(大意)
ありったけの金銀を残らず捨てて、いまは心にかかっていた雲も晴れたと、喜んでいるそのそばから、捨てた金銀がひとかたまりになって空中へ飛び上がると、その勢いにひかれて世の中の金銀がひとところにあつまり、萬々の金蔵をめざして飛んでくる様子には目もあてられぬ次第であった。家中のものどもを金蔵の屋根に上げて飛んでくる金玉を防がせた。
(補足)
火の粉をはらうは火消し、そして屋根上がって纏(まとい)を振り回すは江戸の華「纏持ち」。ここではその火のかわりにとんでくる小判(金)を振り払う箒二本に蜘蛛の巣のような煤取りぼうき(でもこんなのはじめてみました)。誰しもおもう、うちにとんでこないかなぁ。
大金持ち萬々の蔵の屋根は天守閣並みの立派な屋根であります。
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