P3P4 国立国会図書館蔵
(読み)
金 兵へくうふく
きんべえくうふく
のあまりあ王餅
のあまりあわもち
ヤのおくざしきへ
やのおくざしきへ
とをりける尓おり
とおりけるにおり
しもあ王毛ちハま多
しもあわもちはまだ
でき合 セず志者゛しまちいる
できあわせずしば しまちいる
そのうち尓多びのつ可れ二ヤ春こし
そのうちにたびのつかれにやすこし
袮むけきざしけるまゝそは尓あり
ねむけきざしけるままそばにあり
あふまくら引 よセ春ヤ\/お毛ハ春゛
あうまくらひきよせすやすやおもはず
まどろミ个る夢 尓いづくとも奈く
まどろみけるゆめにいずくともなく
P4
本うセんじの御免ん可ごをつらセくろ
ほうせんじのごめんかごをつらせくろ
可も志多てのそう里とり十 壱 二の小僧
かもしたてのぞうりとりじゅういちにのこぞう
其 本可手代 者゛んとうおび多ゝしく免し
そのほかてだいば んとうおびただしくめし
つれさき二春ゝみ多る年者゛いの男 上 下 のひだ
つれさきにすすみたるねば いのおとこかみしものひだ
をたゞしいぎを津くろい申 けるハ楚も\/
をただしいぎをつくろいもうしけるはそもそも
(大意)
金兵衛空腹のあまり、粟餅屋の奥座敷へとすすんでゆくが、そのときには粟餅はまだ出来上がっておらず、少しのあいだ待つことになった。そうするうちに旅の疲れだろうか、少し眠気がしてきて、そのままそばにあった枕を引きよせ、スヤスヤおもわずまどろんでしまった。夢を見た。どこからともなく、宝泉寺駕籠の御免駕籠があらわれ、黒鴨仕立ての草履取り、十一二の小僧、そのほか手代・番頭とおびただしく召しつれ、先に進んでいた年配の男は折り目のたった裃(かみしも)を着て威儀をただし申すには「そもそも
(補足)
「本うセんじの御免ん可ご」、『ほうせんじかご【宝泉寺駕籠】駕籠の一種。富豪や小身の大名などが使用したもの。民間では最上級の駕籠』。『ごめんかご【御免駕籠】江戸時代,医者や裕福な町人が,町奉行の許しを得て用いた黒塗りの自家用かご』。
「くろ可も志多て」、『くろがもじたて【黒鴨仕立て】
法被(はつぴ)・腹掛け・股引き・脚半(きやはん)などを黒か紺の無地で統一した服装。下男や人力車夫が用いた。黒鴨いでたち』。
ここまでの文章の内容がそのまま大きな吹き出しの中に描かれている絵となっています。
金兵衛の脛(すね)のところにある三つの点(P1でも描かれています)がここの頁でも描かれていて、気になってました。足袋の小鉤(こはぜ)かともおもったのですけど、なんのことはない、お灸のあとではないでしょうか。
うとうとしながらうちわをあおぐ金兵衛さん、団扇がひとすじさけてしまっているのが、心憎い細かな演出。
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